頬に、温もり。
救いの手を差し伸べる光のように、俺のぐちゃぐちゃになった感覚に入り込んだ。ほのかな熱を与えてくれる誰かを、震える指で縋るように探す。
固い手の甲に触れた。少しかさついた肌、しっかり生え揃った産毛、骨太い指、短く切られた丸い爪。触覚を頼りに爪の先まで注意深く確かめる。男を癒す柔らかな女の手とは程遠い。だが俺にとっては何にも代えがたいものだ。
その手の温度が、酷く乱れた心を優しく溶かす。体の緊張が少し解け、ようやく目を開けることができた。
ナイトランプに照らされた男の顔が目の前に浮かび上がる。俺の横で眠っていたはずのフランチェスコが、こちらに身を乗り出して眉を顰めていた。
ぼんやりとした意識の中で視線を合わせると、彼が少し目を見開いた。
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