Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    みたか

    🚕now
    @mitaka_kotsu

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💴 🍝 🌙 💎
    POIPOI 36

    みたか

    ☆quiet follow

    今山初夜の続き
    書きかけです(20230619)

     額に何かあたたかいものが触れた感覚で目を覚ます。
    「……ごめんなさい、起こしちゃいましたね」
     そう言う今井の顔は、言葉では謝っている割に柔らかく微笑んでいた。その唇が額に触れると、山本は先ほどのあたたかい感覚も今井だったのだと理解する。
    「おはよう」
     照れくささに何と返してよいかわからずそれだけ言うと、「おはようございます」という返事とともに今度は唇同士が触れ合った。触れて、離れたと思う間もなくまた触れ合う。何度も繰り返されるキスに、山本の寝起きの頭は夢見心地のまますっかり『旬くん』に支配されてしまう。触れるだけのキスから今度は下唇を吸われると、頭の真ん中から心臓の辺りに心地よい痺れが走る。中毒性のあるようなその甘い痺れに感化され、山本は誘うように今井の上唇を舌でなぞる。今井もそれに応えると、唇を吸う音と荒い呼吸、絡まる舌と唾液の湿った音が、ベッドの中のふたりだけの小さな世界を満たしていく。
    「冬樹さん、」
     切なげに囁かれる自分の名前に完全に意識が溺れそうになった時、今井の昂ぶったものが下着越しに山本の股間に押し付けられた。
    「ちょ、ちょっと、旬くん!」
     山本は思わず引き離すように今井の肩を掴む。
    「したいんだけど、ダメですか?」
     ささやかな抵抗には動じず、今井は恥ずかしげもなく履いている下着の前を引き下ろす。
    「だ、ダメ。さっきしたばっかりだろう」
    「じゃあコレどうするんですか」
    快感の記憶に引きずられそうになりながらも体の気怠さが勝ってしまった自分と、有り余る体力と欲求のために不満を露にする今井の若さの差に我に返る。
    「ソレは自分でどうにかしてきて、俺は昼飯の準備しとくから」
     僅かな未練も断ち切るように、山本は自分に覆いかぶさるような体制だった今井を除けてベッドがら上半身を起こした。
    「え、えぇー! マジで!? 目の前に恋人がいていい雰囲気だったのに俺一人でヌくの!?」
     今井の『恋人』という言葉に山本の心臓が跳ねる。しかしそれはキスをしている時とは正反対の、喪失感のある痛みを伴っていた。好きです、付き合ってください。のような始まりがあるわけでもない男同士のこの関係を恋人と言い切れてしまう今井に、罪悪感がよみがえる。まともに生きられるはずのこの子の時間を自分が奪っている。そう思うと、今井の必至の抗議にも曖昧に微笑むことしかできなかった。
    「あーあ、もーわかりましたぁ。シャワー浴びてきますぅ」
     そんな様子の山本を見て、今井は盛大なため息を吐いてベッドを出る。唇を尖らせていかにも不満そうな顔をしているが、怒っている訳ではなさそうなのは山本にもわかった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works