久々に会ったストライクマンは随分痛ましい姿をしていた。白い特殊ゴム素材のボディは所々に養生用テープが貼り付けられ、左腕はメンテナンス時に装着する簡易アームパーツに置き換わっている。友人がそんな有様で現れたものだから、ブレイドマンはそれはもう驚いたし、同時に心配にもなったのだった。
「一体どうしたって云うのです、ストライクマン! その姿、まさか事故にでも?」
声高に詰め寄るブレイドマンに、ストライクマンはあっけらかんと答えた。
「あーこれか? 喧嘩や喧嘩。ライバルチームのバッティングロボットとすったもんだあってな。まー奴にはこの倍にして返してやったんやけどな」
いつものことと云われればその通りな返答に、ブレイドマンはずっこけてしまう。その間にもストライクマンは、あいつは前から気に入らへんかっただの、これで何度目かの謹慎処分になるだのと、得意げに喋っている。
心配し損であったのだろうか、否。
はぁ、とため息をつく。おん、どしたブレイド、と目をぱちくりしている友人に寂しげな目を向け、ブレイドマンはこぼした。
「ストライクマン。私は貴方が他人はおろか、自分をも傷つけて平気でいるのが哀しいのです」
途端、しんとなる。
沈黙に耐えかねたのか、ストライクマンが口を開いた。
「……えらい辛気臭い顔してるやんか。お前らしくもない」
そうですね、と自嘲気味に笑うブレイドマン。
「私だって、好きでこんな顔をしているわけではありませんよ。ただ――」
言いかけて口をつぐむ。
何を言おうとしたのか自分にもわからないまま、ブレイドマンはまた黙ってしまった。
そして再び、沈黙。
しばらくすると、ストライクマンはふっと表情を緩め、こう言った。
「そないなことよりブレイド、何か面白い話せぇや」…………。
「そっ、それでは私の好きな話をひとつ!」
あわてて話題を変えるブレイドマン。
「おお、頼むわ」
嬉しそうなストライクマン。
ブレイドマンは一呼吸置き、語り出した。
「これは私が人間だった頃のお話ですが……」
***
俺は子供の頃から野球が好きでね。よく近所の公園で友達とキャッチボールをしたり、草野球のチームに入ったりと、それなりに楽しかったんですよ。
しかし高校に入ってすぐの頃でしょうか、両親の都合で京都へ引っ越してしまったんです。その時はまだ中学を卒業したばかりでしたから、さすがにショック