心を撫でるパチンと薪のはぜる音が、夜の帳が下りる中やけに大きく聞こえる。
その気ままに跳ねつつも、静かに燃えている焚き火をダンデはアウトドアチェアに座ってぼんやりと眺めていた。
「ダンデ。コーヒー淹れたけど飲むか。」
「ああ、貰えるか。」
ダンデはお礼を言いながらキバナから燻んだオレンジ色をしたカップを受け取る。チラリと目線をキバナの方に向けると、彼もカップに並々とコーヒーを注ぐところであった。キバナが持っているのは所々塗装が剥げた白色のカップだ。どちらもずっと子どもの頃から使い続けているので使い古された感はあるが、その一つ一つの傷やへこみを掌で撫でながら温かい飲み物を飲むこの時間がダンデはとても気に入っている。
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