花吐き病ぱろ一部(タイトルまだない)花吐き病パロ
「おえっ……」
ぼたぼたと俺の口から花が落ちる。色とりどりの花がぼろぼろと。
息がし辛く、胸が締め付けられる。苦しくて、苦しくて、視界がぼやける。
この苦しみは、嘔吐のせいなのか。
それとも、叶わぬ恋のせいなのか。
「大丈夫か?万事屋……」
声をかけた男、近藤はどうしようかと、おろおろしながら俺を見ている。
俺はぼやけた視界の中、あいつの方を向く。困ったような顔をするあいつに、吐き気がまた込み上げる。ぎりっと奥歯を噛んだ。
お前のせいだよ、と言えたらどれだけ楽なのだろう……なんて。
そう考えると同時に、結局、溜まらずに俺はまた口から花を吐き出した。
どうしようもない恋だ。叶わない恋が、花となって俺を苦しめて、吐き出させて楽にしてくれる。ずっと溜め込むよりマシだというように。
吐き出した花が俺の周りを囲む。俺のテリトリーだと言わんばかりに。ここからは入ってくるなというように。
どうしようもない恋だ。だからこそ、もうこれ以上は俺の中に踏み込まないで欲しい。そっとしてくれ。墓場まで持っていくから。
それなのに、どうしてなんだろうな。
「辛いのか?万事屋」
花を掻き分けて、花を乗り越えて、俺の元にお前は駆け寄ってくる。
「馬鹿っ!てめェ!花に触ると……」
忠告する暇もなかった。俺を抱きしめて、よしよしと、背中をさする。
「こうすると、楽になるらしいぞ。片想い相手じゃなくても」
つづく