『言葉の勘違い』休日の夜、福富の部屋は静かで、窓の外から聞こえる虫の声と、卓上の小さなランプの明かりが部屋を柔らかく照らしていた。箱根学園自転車競技部のエース・福富とその相棒・荒北は、今日は予定を空けて、二人きりの「部屋デート」を楽しんでいた。床に散らばった漫画と、テーブルに置かれたピザの空き箱が、のんびりした時間を物語っている。
荒北はソファにふんぞり返り、缶ジュースを片手にニヤリと笑う。
「ナァ、福チャン、こんな夜にピザと漫画って、まるでガキの合宿みてェだナァ」
福富は床に座って漫画をめくりながら、静かに笑う。
「荒北が持ってきた漫画が、意外と面白かったからな。悪くない休日だ」
その落ち着いた声には、どこか温かみがあり、荒北はそんな福富の横顔にチラリと目をやる。
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