コルセットピアスの話▽王様の背中に不思議な力でコルセットピアスがつきました
▽グロくも痛くもないです
白くほっそりとしたうなじに、身体の表面を美しく隆起させる筋肉をまとった背中。その中央にある背骨に沿ってできるくぼみ。その皮膚の下には骨があるのだろうし、その骨もきっと美しいのだろう、と思わせる肢体。なのだが、今目を惹くのはそのくぼみの上だった。
「王様、そんなのありましたっけ!?」
くぼみの上、背骨に沿って目に鮮やかな真っ赤なリボンが交差し、腰のあたりで蝶結びにされている。驚くべきはそのリボンが、皮膚に埋められた金具を通っていることだった。
「何、この我の魔力をもってすればこのくらい造作もないこと」
金具のひとつひとつはピアスなのだろうか。肉に埋まったリング状のピアスは痛そうではあるが、全体で見れば彼の白皙の肌に真っ赤なリボンはよく似合っていた。
「痛くないんですか?」
「痛覚は遮断しておいたゆえな。痛くも痒くもない」
なら触っても平気だろうか。できるだけそっと、肉に刺さった輪の部分を上から順に指先でなぞれば、ぴくりぴくりと皮膚が反応する。指先に感じるのは金具の形に沿って僅かに盛り上がった肉の感触。本当に貫通している。
「やめよ。くすぐったい」
「だってこれ、すごいですよ」
「であろう? 現代の装飾も捨てたものではないわ」
こんな身の飾り方があることは立香は知らなかったが、それはギルガメッシュによく似合っていたので肯定しておいた。褒められて機嫌を良くしたギルガメッシュは、くすぐったいと言った割に立香に触られてもそれ以上は止めもしない。ただやはりくすぐったいようで腰をくねらせ指から逃げるような仕草をする。
「王様」
「なんだ」
「…………今日はバックでいいですか」
そのくねらせた背中が、リボンの映える背中が、やけに艶っぽいのだ。金具の上へくちづければ、ふは、と笑う吐息が聞こえた。
「よい。赦す」
背を飾る赤を見せつけるように腰を浮かせて振り向き微笑う王に被さり、噛みつくようにくちづけた。