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    えんどう

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    えんどう

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    ▽オメガバもどきのあれ
    ▽ぐだおと番になった王様が頑張って巣作りする話

    ##オメガバもどき
    ##5001-9999文字

    君のための巣▽オメガバもどきの二人です
    ▽適当に設定を捏造しています
    ▽番になったあとの話
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
    「今度の土日、空いてますか。できれば月曜も休みを取ってほしいんですけど」
     資料の表示されたタブレットから視線を上げ、「何を異なことを」と言おうとして口を少し開いたところで硬直した。こちらを見る立香の蒼い双眸が、普段はへらへらと難しいことを考えていないよう(に見えるだけで実のところそうでもないことを知ってはいるが)な立香の表情が、その顔が、言葉を失う程真剣にこちらを見ていて、鼻で笑うことも否定することも忘れてしまって、
    「で、その……、……薬、を、飲まないでいてほしい、ん、ですけど……」
     語尾にいくにつれ小さくなる声は、けれどギルガメッシュには全て聞こえていた。言葉を失ったギルガメッシュは、息を詰めたように真剣な立香と見つめあって、その顔が、顔だけじゃなく首や耳までもじわじわと朱に染まるのを見、改めて立香の言葉を反芻する。薬、と言われて思い当たるのは抑制剤しかない。それを飲まないでいればどうなるか、ギルガメッシュはいやと言う程知っている。勿論立香も知っていて、知っている上での発言だろう。それはつまり。
    「――――」
     茹でダコのように真っ赤な立香を見るギルガメッシュの顔も熱くなってくる。オメガと呼ばれる分類に属するギルガメッシュは、抑制剤を飲まなければ数日のうちに発情期がやってくる。それを土日(できれば月曜も)にあわせてほしいということだろう。番となった今では、誰彼構わず欲しくなるような無分別な発情ではなくなったようだが、その分、指向性を持っている。向かう先は番である立香だ。確かに最近、仕事が忙しくなかなか立香と過ごす時間が取れずにいたが、まさか立香がそのような願いを言うなんて。
    「……やっぱり、ダメ、ですか……?」
     驚きと驚きと驚きで思考の海に飛び込んでいたギルガメッシュはその不安げな声で我に返る。こちらを窺う立香は声の通りに不安げな表情を浮かべている。ギルガメッシュは開いていた真紅の瞳を何度か瞬いて、
    「――シ、ドゥリ、に……、伝えよう。シドゥリならば調整できるはずだ……」
     いつもの力強さはどこへやら、無意識に発するような弱々しさすらある声で、立香の願いを承諾した。
     その後、不安げな表情を満面の笑みに一転させた立香に飛びつかれて抱き締められたことは言うまでもない。
     
    ✽✽✽
     
     抑制剤、という薬がある。正式名称はなんだったか、記憶するまでもないことだと追い出したから正式名称は記憶していない。その程度のものではあるが、この抑制剤がなければ己は日常生活もままならなくなる期間が生じてしまう。それがどういう意味かは、この世界について多少の説明が必要なのだがここでは割愛する。ただこの薬がなければ己は誰彼構わず性的欲求を覚えてしまう。餓えた獣のような、見境のない発情。生前の、若かりし頃の己であればそれはそれとして愉しんだかもしれなかったが、今、受け入れたい、性的に交わりたい、と思う相手は限定されている。それは以前の生からで、ここでも記憶は引き継がれている。全ての快楽を味わった己が、今やたったひとりの子どもにのみ抱かれたいと願う。本能は精を注いでくれるなら誰でもいいと嘲笑うが、それを許すことなどできない。他のモノなど欲しくはないのだ。たったひとり、藤丸立香という子どもだけが欲しい。欲しかった。今の体質がこうだから、などではなく、もっとずっと以前からそうだったのだ。見て見ぬふりを続けていたが、つまるところは立香がいればよい。ただそれだけだった。
     だが、立香は無限の可能性を内包する最新の人類だ。己のような、とっくに終わって人理に焼きつけられただけの存在とは違う。正確には今の己も人間であるのだが、もう完結しているのだ。このギルガメッシュという存在は。変わらぬ己が変わり続ける立香の行く道を阻害してはいけない。そう言い聞かせて、今もそれが正しいと信じていて。
     なのに。
     立香はそれを許さなかった。
     未練がましく離れることもできない己を、それでいいのだと喜び、溢れんばかりのあたたかな感情を持って接し、あの頃と何も変わらない笑顔で「好きだ」と言う。心の準備ができていないならできるまで待つ、とまで。
     何故そんなに、何故そこまで、何故、何故何故何故。いくら思考を巡らせてもついぞ理解などできなかった。『 』など、解らなかった。
     そんな己を辛抱強く待ち続け、傍から離れず、気移りすることもなく、立香はたくさんの感情をギルガメッシュに注いだ。時には叱責を受けることもあったが、それもこれもどれもあたたかで、心地よい感覚だった。できることなら、立香にも返したい。他人の心など気にかけたこともなかった己が、たったひとりの人間に心を砕くなど有り得なかったが、ギルガメッシュが与えれば立香は喜び、与えた倍以上のものを送り返してきて、それは〝好い〟と思えた。やり過ぎだとも思ったが。
     これを、この感情を『 』だと呼ぶのなら。
     嗚呼、己はあの無限の可能性を秘めた子どもを、愛してしまっているのだ。
     そして、『番になりたい』という立香の願いを受け入れた。やっと、と立香は言っていた。その安堵の声は今でも耳に残っている。
     そして今日は、立香が時間を作ってほしいと願ってきた週末である。あれから怒濤の仕事を片づけ、有能な秘書と幹部に数日間任せるための準備を整えた。立香の望み通り、抑制剤は数日前から服用していない。今のところ発情の気配はないが、それとは関係なく、心臓は破裂しそうな程に脈打っている。まさかこれは緊張というヤツだろうか。これから起こるであろう出来事への期待と、少しばかりの不安。立香の望みを叶えてやれるだろうか、それが気になって仕方ない。全身に巡る血は熱い。吐く息も熱を帯びてきたように思う。これは前触れだ。間もなく発情期が訪れるだろう。立香と番となってから初めての発情期。番を持つオメガの発情期は番を持つ前と異なり、番の相手のみに向かうと知識では知っているが、実際に体験するのはこれが初めてだ。今のところ、あの気が狂いそうな欲求はない。立香の帰りを待ち遠しく思う、だけ、だ。
    (ああ、その前に)
     ベッドに座って漫然と時が過ぎるのを待っていたギルガメッシュは立ち上がり、寝室を出る。向かった先は風呂の手前にある脱衣場。
    (……ふむ、立香め、我の言いつけをきっちり守っているではないか)
     脱衣場の端に置かれた三つの洗濯カゴは、ギルガメッシュのものでない衣類が、洗われないままこれでもかというほど詰まっている。Tシャツ、ジーンズ、パーカー、カットソー、シャツ、カーゴパンツ、エトセトラエトセトラ。あの約束をした翌日に買い与えた立香の衣類達。数日間でどれほど着替えられるのか、と、購入したギルガメッシュも思ってはいたが、立香は律儀にギルガメッシュの願いを聞き届けたらしい。よしよし、と頷きながらカゴを持ち上げる。これだけあれば、さぞ立派な巣が作れるだろう。少なくとも、以前朦朧とする意識の中で作ったものよりはマシになるはずだ。ギルガメッシュはカゴをいそいそと寝室へ運び、ベッドの上に中身を広げる。手近な一着を取り上げ、鼻を寄せてみれば、弱いながらも立香の匂いがした。たったそれだけで心臓は高鳴る。発情が進んでいるのだろう。動ける間に残りの二カゴも運ばねば。
    (見ておれよ、立香。完璧な巣を造りあげてやろうではないか)
     妙なところに熱意を燃やすギルガメッシュは、己で思うより発情が進んでいる。そうして、脱衣場にカゴを取りに行く足取りも軽やかに、ギルガメッシュは渾身の巣作りに励むのだった。
     
    ✽✽✽
      
     ――――あまい、匂いがする。懐かしいような、つい最近嗅いだような、やわらかな匂い。そして頭を撫ぜる手の感触。ゆっくりと、慈しむように撫でるその手も、その匂いにも、ひどく安心して、ギルガメッシュの意識は再び眠りに落ちようとして―――
    (ダメだ。違う。目を開けろ)
    「――――あれ、起こしちゃいました?」
     真上にある立香の顔が苦笑する。その笑顔で即覚醒したギルガメッシュは、今己が立香の膝枕で眠っていたことを知る。引き締まった脚での膝枕は柔らかさこそなかったが、ベッドの中央で立香の服に包まり眠っていたギルガメッシュには充分すぎた。服だけでも心地よく安眠を呼ぶ立香の匂いは、今や目の前にある。
     が、眠ってはいられない。立香の膝枕に後ろ髪を引かれる思いで身体を起こし、立香と向い合って座る。
    「何故起こさなかった? 我らの時間は限られていると言うに」
    「いや⌇⌇、王様があんまりにも気持ちよさそうな顔で寝てたんで、つい」
     へへ、と笑う立香に裏などない。だが、その吐息が熱を孕んでいることをギルガメッシュは気づいている。αの発情はΩの発情に誘引される。つまりギルガメッシュの発情に、立香が反応しているということだ。と言っても理性を失っている素振りはない。まあ、立香ならば獣のような衝動を押し込めるだろうが。その証左か、立香は見た限り自然体である。いつもの立香だ。それを見るギルガメッシュの心も、多少高揚してはいるし今すぐ受け入れろと言われれば受け入れられるが、会話ができる程度には理性がある。
     発情しているのに穏やかであたたかな気分でいられる。これが番を持つということなのだろうか。
    「――服、使ってくれたんですね」
     ぐるりと周囲を見渡した立香が感慨深げに言う。その声で思考を止めたギルガメッシュは、同じように周囲をぐるりと見渡し、
    「フ。資源が潤沢であればこの程度、造作もない」
     綺麗に折り畳んだ服達をサークル状に積み上げ、サークルの内側にはカーペットのように服を敷いて、二人が入っても狭すぎず、また広すぎないサイズに仕上げている。サークルの中で横になれば立香の匂いに囲まれ、安心と心の平穏が生じる造りになっている。ついでにベッドサイドのテーブルには水や軽食なども準備している。流石に、三日分は置いていないが。
    「すごいですね、本当に〝巣〟って感じ……」
    「であろう、であろう、もっと褒め称えるがよい。褒美を献上してもよいのだぞ」
     座った状態で平たい胸を張るギルガメッシュは、普段であれば口にしないような、幼子のような言葉を口にする。どうやらそこそこに熱が回ってきたらしい。
    「そうですね、じゃあ王様、もう少しこっちに」
     手招く立香に、ギルガメッシュは素直に応じて胡座をかいた脚でにじり寄る。同じく胡座の立香と膝と膝が触れあう位置まで近づいて、「さあ、」と続きを強請る。
    「これしか思い浮かばなかったので、失礼します」
     丁寧な前置きのあと、立香はギルガメッシュのまるい頭をよしよしと数回撫でた。
    「――――」
     立香の、歳相応に育った掌が髪の上を滑る。一回、二回、三回、四回、……何度か撫でた後、立香は手を離す。ギルガメッシュは、立香の手が離れたというのに頭を差し出したまま硬直した。
    「え、お、王様……?」
     なにかまずいことをしたのだろうかと立香は慌てるが、ギルガメッシュの頭の中に不敬、という言葉はない。代わりに、思い出していた。
    『泣かないで、ギルガメッシュ王』
    『うん、気持ちいいね、怖くない、怖くない……』
    『よくできました』
     最中に、立香からかけられた言葉。普段の生活では思い出さないようにしているソレが、頭を撫でるという行為と共に脳内に溢れ出す。その記憶は、発情した身体を瞬時に巡る。そして心臓が血液を送り出すように、頭の先から脚の先までぶわっと広がったのは、快楽。
    「あれ、あ、え? 王様? だ、大丈夫ですか?」
     肩を竦ませて両腕で己の身体をかき抱いたギルガメッシュに、立香が慌てて声をかける。立香からすれば、撫でるだけでまだ何もしていないのにギルガメッシュがこんな反応をするとは思ってもいなかったのだろう。顔が熱い。身体も。穏やかに浸透していた熱が一気に大波のように押し寄せてギルガメッシュは濡れた息を吐く。
    「立香……」
     そうして名前を呼んで、自身をかき抱いていた腕を恐る恐る立香へ伸ばす。その手を取る立香は、やや不安げだった表情を安堵に崩し、力の抜けた笑みを浮かべた。
     伸ばした手は立香の手に触れ、指と指がするりと絡みあう。ぴったりあわさった立香の手は少し湿っていて、緊張を伝えてくる。今更いったい何を、とも思うが、立香のその初心さもまた好しとしているギルガメッシュからして見ればそれもまた好し、である。
    「……なんか、改めてだと照れますね」
    「今更何を」
    「今更じゃないですよ」
     む、と少し拗ねたような顔をした立香が腕を引く。引かれるまま上体を傾げると、まるでダンスのように腕を引き寄せられ、ぽすっと立香の胸のあたりへ寄りかかった。心音が聞こえたりはしなかったが、寄りかかっているうち服の布越しに立香の体温が感じられる。暖かい。
    「ずっと、ずーっと待ってたんですから」
     耳元で聞こえる立香の声は心の底から弾んでいる。
    「もう離しません。王様が離れたくなったら別ですけど、喧嘩しようが何しようがオレは貴方を離しません、王様。……ギルガメッシュ王」
     立香のいつになく落ち着いた低音が鼓膜を震わせて、ギルガメッシュは肩を竦める。今はその震動すら発情に繋がりかねない。
    「……、……りつか、」
     吐く息が熱い。身体は快楽を求めて疼き始めているが、立香の声を聞いていたくもある。けれど熱が思考を溶かす。立香がほしい。肌と肌をあわせて、奥の奥まで、立香がほしい。立香だけが、ほしい。
    「……王様、くち、開けて」
     寄りかかっていた身体を離し、立香の言う通りに、あ、と口を開ける。「よくできました」と微笑った立香が口を開きながら顔を寄せてきて、薄い皮膚に触れたのと同時、ぬるりと口内に舌が入り込んできた。背筋がざわめいて、ゾクゾクと這い上がってくるのは歓喜。待ち望んだものが与えられることへの期待とあわさり、肩を震わせる。
    「ん……ふ、……ん、んぅ、」
     口内の舌に舌をすりつければ痺れるような気持ちよさに声が漏れる。立香の後頭部を指で梳き、くしゃりと黒髪を軽く握り込む。どくどくどくと心臓は早鐘を打っていた。
    「――――おうさま、」
     唇が離れる僅かな間に呼ばれ、眼を開けると立香の海の色をした眼と眼があった。
    「倒します、ね」
     酸素が足らないのだろう、ややぼやけた思考のままこくりと頷く。立香はギルガメッシュの腰を抱いて、背を支えながらゆっくりと服達の上へ寝かせる。途端に、城壁のように積み上げた服から香る立香の匂いが増してきゅうと喉が鳴る。
     この感覚を、この感情を、なんと呼べばいいのだろう。
     ベッドの上へ仰向けに寝かされたギルガメッシュは立香を見上げる。その視線が立香の視線と絡んで、立香は照れくさそうに笑った。肌を重ねるようになってもう随分経つのに、立香は未だにこういう反応を見せる。それを純真と受け取るか愚鈍と受け取るか、どちらかなぞわざわざ言葉にする必要もあるまい。
    「――――」
     頬をほんのり朱に染めた立香が顔を寄せてくる。ギルガメッシュは自然と瞼をおろし、唇で受け止める。先程の続きのようなくちづけは、燻っている熱に火を灯す。鼓膜に届く粘性の水音すらも刺激となり、唾液の粘度も増していく。どちらのものかもう解らない唾液がギルガメッシュの口角から溢れ、つつっと流れて糸を引いた。
    「ん、……りつか、」
    「……どうしました?」
     息継ぎの間に立香を呼ぶと、ぬるりと舌が出て行ってしまった。それは惜しいが、今は致し方あるまい。
    「……りつか、 疾く、ココに」
     言いながら、するりと指を滑らせて己の腹をなぞり、下腹部で止める。
    「ココに、りつかを、」
    「―――」
     立香はぽかんと口を開けたままギルガメッシュの細い指を蒼い瞳で追い、ややあってボッ、と音がしそうな程に、薄暗闇でも解るほど解りやすく顔を赤らめた。やはり、己は立香の初心な反応を好んでいるらしい。思わずくくっと喉の奥で笑ってしまった。
    「⌇⌇⌇⌇っ、あまり、からかわないでください……」
    「からかってなどいないが?
     ――戯れる間も惜しい」
    「おう、」
     立香の首へ両腕を回し、離れていた距離を引き寄せて詰め、開きかけていた唇を塞ぐ。舌先で舌の表面をなぞれば、立香はくすぐるように擦りあわせてくる。その反応に気を良くしたギルガメッシュは思う様口内で舌を蠢かせ、立香はそれにあわせて絡めたり吸い上げたり、ギルガメッシュの弱いところを的確にくすぐる。教えたのは己だが、立香の飲み込みの速さと対応力には驚かされる。気がつけば思考も蕩け始め、ただひたすら立香との接触は心地よいという意識に支配されていく。発情しきった身体は、直接的な粘膜接触を欲しているが、くちづけだけでも思考を蕩かすのには充分なのだ。思考は全て立香に塗り潰されていく。立香の触れる皮膚が熱い。くちづけで脳が蕩かされる。下腹部はもうずっと疼いている。
    「……ん、 りつか……」
    「服、脱ぎましょうか」
     唇を離した立香に言われ、頷くが全身に力が入らない。仕方なくシャツのボタンをのろのろと外していると、ギルガメッシュの状態を察したのか、上着を脱いだ立香が途中からボタンを外していく。相変わらず筋トレなどの鍛錬を続けている立香は、普段のだぼだぼの服をまとっている時よりも、脱ぐとその鍛え上げられた身体が強調される。脱いだらすごい、というヤツか。そこに年端もゆかぬような童顔が乗っているせいかギャップが生じる。これは女共が放っては置かぬだろうと推測するが、その立香が選んだのは己である。そしてそのことに優越感を抱く。立香とは長いつきあいだが、その間に脇目を振られたことはない。本人の言葉通り、ずっと、もうずっと永い間ギルガメッシュだけを想い続けているのだろう。くすぐったいような、誇らしいような、なんとも言えぬ感情。
     などと考えている間に立香はギルガメッシュの上着を脱がせ終わり、ぺたりと素肌に触れてきた。そっと撫でるような手つきはくすぐったく、発情した身体には快楽としても認識される。立香に触れられるのは心地良く、気持ちが良い。与えられるのは快楽だけでなく、安心感。
    「ギルガメッシュ王……」
     立香の、光差し込む海を思わせる蒼い瞳が熱を持ってギルガメッシュを見下ろしている。ギルガメッシュ唯ひとりを見ている。ああ、この視線も己のものなのだ、と思うと体温が上昇するのを感じる。細胞のひとつに至るまで歓喜に満ちている。
     けれどそれを悟られないよう、ギルガメッシュは妖艶に微笑い、
    「立香よ、この三日間、愉しみにしているぞ?」
     する、と頬を撫でられた立香はぱちぱちと瞬きをして、それからぱっと笑顔に変える。
    「もちろん、百点満点を見せてやります」
     そうしてふたり視線を絡ませて笑い、ギルガメッシュは何度目かの立香の唇を受け止める。名前はなけれど心地良い感情に満たされながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
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