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    えんどう

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    えんどう

    DONE▽トンチキパラレル
    ▽王様が人魚
    ▽出会い編
    邂逅▽トンチキ現代パラレル
    ▽王様が人魚
    ▽転生してません
    ▽ぐだキャスギル






    「う⌇⌇ん、釣り日和だなぁ」
     一人用の手漕ぎの小舟に椅子を置き、両腕を目一杯伸ばして黒髪の青年――藤丸立香は眩しげに空を仰いだ。どこまでも透き通った青い空は白い雲がところどころに浮かび、ゆっくりと風に流されていく。太陽に照らされても暑過ぎず、風の冷たさもなく、人間に最適と思いたくなるような長閑な気候に立香は目を細めて、よし、と呟く。
    「よっ、と」
     派手なルアーを取りつけた竿を振り、大体の目当ての場所へ投擲する。ルアーはぽちゃんと水の跳ねる音を立てて着水し、沈んでいく。それを眺め、不規則に糸を巻いたり竿を引っ張ったり、水中の魚がルアーに興味を示すよう動かす。まあ、目的は魚を釣ることではないので、そこまで細かく真剣に動かす必要はないのだけれど。こうしていると、頭を悩ませていることだとか、日々の雑事から開放されたようで、気分がいい。この感覚を味わいたくて立香は小舟に椅子を置いて腰かけ、手繰り寄せた当たりのないルアーをもう一度遠くへ放る。ぽちゃんという水の跳ねる音が好きだ。それからすぐ側でした、魚の尾が水面を叩くばしゃんという音も。
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    えんどう

    DONE▽オメガバもどきのあれ
    ▽ぐだおと番になった王様が頑張って巣作りする話
    君のための巣▽オメガバもどきの二人です
    ▽適当に設定を捏造しています
    ▽番になったあとの話
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
    「今度の土日、空いてますか。できれば月曜も休みを取ってほしいんですけど」
     資料の表示されたタブレットから視線を上げ、「何を異なことを」と言おうとして口を少し開いたところで硬直した。こちらを見る立香の蒼い双眸が、普段はへらへらと難しいことを考えていないよう(に見えるだけで実のところそうでもないことを知ってはいるが)な立香の表情が、その顔が、言葉を失う程真剣にこちらを見ていて、鼻で笑うことも否定することも忘れてしまって、
    「で、その……、……薬、を、飲まないでいてほしい、ん、ですけど……」
     語尾にいくにつれ小さくなる声は、けれどギルガメッシュには全て聞こえていた。言葉を失ったギルガメッシュは、息を詰めたように真剣な立香と見つめあって、その顔が、顔だけじゃなく首や耳までもじわじわと朱に染まるのを見、改めて立香の言葉を反芻する。薬、と言われて思い当たるのは抑制剤しかない。それを飲まないでいればどうなるか、ギルガメッシュはいやと言う程知っている。勿論立香も知っていて、知っている上での発言だろう。それはつまり。
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    えんどう

    DONE▽珠魅パロ
    珠魅の涙▽ぐだおと王様が『聖剣伝説 LOM』に登場する『珠魅じゅみ』という種族になってるパラレルですが、設定を知らなくても読めなくはないと思います
    ▽ご存知の方には物足りないパラレルです(多分)
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
     雨が、ざあざあとノイズのように降り注いでいる。
     国は滅びた。民も冨も兵士も臣下も何もかもを失った。何もかもを失ったのに、己は未だ無様に生き恥を晒している。王のみが逃げてなんとする。国を持たぬならば最早王とすら呼べまい。そうなれば己はただの道端の石に過ぎない。玉石だの輝石だのと持て囃された真紅の核も、今にも砕けそうだ。もう一歩も動けない。四肢に力も入らず、木の根元に座しているのがやっとだ。それももう長くは保つまい。頭が重い。身体も、意識すら錘をつけられたように重い。ざあざあと降り続く雨は元々体温のない身体からも熱を奪う。せめて雨の当たらぬ場所を、と思って身じろぐと、ぐら、と傾いだ頭が支えられず地面にどしゃりと倒れ込んだ。濡れた枯れ葉が、雨に打たれて震えている。もう、起き上がる気力すらない。目を閉じる。何も残さず砕け散ることだけが唯一の救いだった。奴らに欠片の一片すら渡すわけにはいかない。
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    えんどう

    DONE▽モブが目撃する話
    モブが目撃する話▽名無しのモブが出ます
    ▽モブ視点です
    ▽ぐだキャスギル






     人理継続保障機関フィニス・カルデア。地球環境モデル『カルデアス』を観測することにより人類社会の存続を世界に保障する、保険機関。のようなもの。ある事件がきっかけでその役目は人類史の存続に関わる重要な時代の守護、事件の解決を武力――英霊、サーヴァントを使役して行う、人理の希望になった。正確に言えば希望は唯一人で、自分のようなただの職員はただの職員。とまあそんな堅苦しいことは置いておいて、ここカルデアは人類を、世界を守るために今日も変わらず運営されている。
     食堂では赤い鎧の弓兵や裸エプロンの猫娘、幼女の女将、ブリタニアの女王が厨房を切り盛りし、トレーニングルームではスパルタの王やケルトの戦士がもうそれ以上どこを鍛えているのか解らない筋肉を鍛え、レクリエーションルームでは戦国を生きた巴御前やインドの神ガネーシャ神、城化物の刑部姫達がゲームに興じ、シミュレーションルームでは古今東西の英雄達が時代や地域の枠を超えて戦闘シミュレーションに励んでいる、そんなカオスな場所。幼女の姿をしたジャック・ザ・リッパー、ナーサリー・ライム、バニヤン、ジャンヌ・ダルク・サンタ・オルタ・リリィ達は今日もキャッキャと姦しく走り回り、微笑ましい光景を生み出していることも書いておこう。
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    えんどう

    DONE▽VD2019?
    ユーフラテスの夕べの話▽王様のVD礼装の話
    ▽ぐだキャスギル






     いつもお世話になっている人へ感謝を込めて。友人へ友情を込めて。愛する人に、愛を込めて。様々な気持ちを甘い菓子に乗せて贈る日、バレンタインデー。そんなバレンタインに立香はギルガメッシュへチョコを渡した。込めたのはもちろん、愛する人へ、の気持ちである。贈るチョコレートも、手伝おうという人達の気持ちを丁重に辞退して(ネットの力は借りたが)誰の手も借りず、一人で作り上げたものである。未知の素材であるカカオを相手に奮闘し、やっと作り上げたものである。出来栄えは良すぎず悪すぎずではあるが、間違いなく立香に今できる最大限だと言えるだろう。
     それを受け取った王は、やはりというかなんというか、感謝はしてくれなかった。それは解っていた事ではあるが、反省しろとまで言われた。ああこれはやはり失敗だったか、と、解ってはいたなりに落胆した立香は、気がついたらウルクにいた。何を言っているか解らないと思うが、ウルクにいたのである。やはりダメでしたか、と言う立香に王が質より量の問題だ、と言ったのは覚えている。いや、王の言葉であればちゃんと覚えている。が、宴席を数分で終わらせるつもりか、真に誉れあるバレンタインを、ウルクを見せてやる、と言われて耳を疑っている間にあれよあれよとレイシフトさせられ、気がつけばウルクで王の用意した舟に乗っていたのである。
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    えんどう

    DONE▽VD2018
    ぐだおが記憶喪失になる話▽セミ様のVDイベの頃に書いた話です
    ▽ぐだおが王様のことを忘れます
    ▽思い出します
    ▽ぐだキャスギル





     立香がカカオに頭をぶつけた。諸々の事情は省くが、ぶつけたのである。ぶつかったと言う方が正確だろうか。何がどうしてそうなったのかは解らないし解りたくもないが、どこからともなく高速で飛んできたカカオの実がモロに立香の頭へ直撃し、倒れ込むのを傍にいたギルガメッシュが慌てて受け留めれば気を失っていた。その場にいた全員が驚き慌て、一部始終をモニタ越しに目撃したマシュは泡を食っていた。立香を案じて我も我もと集まってくるサーヴァントたちへ立香を抱えたギルガメッシュは作業の続行が立香のためになると説き指示を飛ばして、自ら医務室へ運んだのが数時間前のことである。なかなか目を覚まさないのは疲労のせいもあるのだろうということではあったが、打撲以外の目立った外傷がないのは幸いだった。マシュは死にそうな顔をしてずっと立香の傍にいたが。その場にいて守れなかったことを悔いているのだろう。たかがカカオだが、真面目な彼女のことだ。気に病んでいることなど想像に難くない。壁に背を預けて二人を見ていたギルガメッシュは嘆息して口を開く。
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    えんどう

    DONE▽オメガバもどき
    ▽王様が巣作りする話
    愛のかたち▽「巣作りする王様ってかわいくない」と思って書いた話です
    ▽オメガバについて浅い知識しかない人が書きました
    ▽転生記憶あり風味の現パロ
    ▽ぐだキャスギル





     ぬかった。確かにここのところあれこれと立て込んでいたのだが、それを体調管理を怠ったことの言い訳にはできない(と、先程散々秘書に言われた)。周期的に言えばあと一週間は先のはずだつたから、大丈夫だと高を括っていたのは慢心だったか。身体が重い。熱い。息を吐くのも億劫だ。玄関先でへたり込みそうになる脚を叱咤して、背を預けていた玄関ドアから身を起こす。ここで座り込めば動けなくなる。ネクタイを緩め、震える指でシャツのボタンを二つ三つ外してズボンのポケットから引っ張り出したスマートフォンの画面を見やる。会話の履歴は今朝、『今日はバイトがあるから夜は遅くなる』という連絡だった。遅くなる、と言うことは閉店までいるのか。さて、閉店は何時だったか。零時か?それ以降だったか?常ならば持ち帰った仕事を片づけているうちに帰ってくるのだが、この状態でそれはとてもできそうにない。できることなら今すぐに帰ってきてほしい、が、無様にそれを請うほどまだ正気は失っていない。画面上の時計は正午を示している。状況を伝えるべきなのは解っているが、少し躊躇ってから画面をロックする。帰ってくるまで耐えればいいだけの話だ。深い溜め息を吐いてスマートフォンをポケットへしまおうと腰に当てたところで、振動と共に電子音が腰に伝わって思わず取り落とす。廊下の床にゴトッと重たい音を立てて落ちたスマートフォンの画面には着信を知らせる表示が光っていた。今確かに伝えるのをやめたはずなのに何故。一瞬無視するかとも考えたが、無視したところで諦めはすまい。壁に手をついてのろのろと屈み込んで拾い上げる。画面に触れ、耳に当てれば即座に切羽詰まった大声が鼓膜に飛び込んできた。
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    えんどう

    DONE▽DK×謎の金髪青年
    年上の幼馴染▽ぐだおだけ転生してそうな現パロ
    ▽いずれ大学生×社長になる予定のDK×謎の金髪青年
    ▽付き合ってない
    ▽ぐだキャスギル(将来的に)





     オレには年上の幼馴染がいる。というと定義と矛盾が生じるけれど、文字そのままの意味ではそうだし、他にこの関係を表す言葉を知らない。
     その人との出会いはオレがまだ小学生だった頃。学校からの帰り道にある公園に友達といつものように遊びに行ったら、いた。というか、通りかかったというか。オレはその瞬間を未だに忘れていない。天気が晴れてたかどうかだとか、風が吹いていたかだとか、そんなことは忘れてしまったけど、景色の真ん中にいたあの人の姿はちゃんと覚えている。
     最初に目に飛び込んできたのは、太陽の光を受けてきらきら光る金髪だった(ということは晴れてたんだな、たぶん)。オレはそれまで近所で金髪の人を見たことがなくて、物珍しくて見たんだと思う。公園の入り口に立っていたその人は金髪も目立ったけど、すらりとして背も高くて、横顔だったけどまるでテレビで見る芸能人、それよりももっと、なんというか、人間離れしてるような雰囲気で、その人の周りだけ空気が違って、しんと静まり返っているような、でも見てるオレの胸の裏側はざわざわざわざわうるさくて、目が離せなくて、無遠慮にじろじろ見てしまっていて、それで、気づかれた。横を向いていた顔がゆっくりこちらに向かって動いて、瞬きの間がやけに長く思えて、閉じて開く目の、少し伏せられていた視線が上がってくるのもスローモーションかコマ送りか、すごく永い時間に思えた。ひたり、と据えられた視線はいちご飴よりもっと赤くて透明なふたつの目玉から発せられていて、オレはそんな色見たことなくて、動けなくて、目があって、胸の真ん中にズドーンと雷が落ちたみたいな、なんかものすごい衝撃を受けた。
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    えんどう

    DONE▽🍛🍛🍛
    ぐだおが作ったカレーを王様が食べる話▽ぐだおが作ったカレーを王様が食べる話です
    ▽はじめてのカレー礼装で興奮してできた話ですが礼装は全く何も関係ありません
    ▽ぐだキャスギル





     月に二度。少なければ一度、食堂に緊張が走る日がある。その日は早朝からサーヴァントを中心に大勢が列を成し、整理券の配布を待って一喜一憂する。清姫や静謐のハサンなどは夜も明けきらぬうちから食堂の外に並ぶという。
     月に二度の特別な日。そう、厨房に我らがマスター、藤丸立香が立つ日だ。
     元々は、自分がやれることがあるなら手伝いたいと、そんな健気な思いつきから始まったこの『マスターの日』。ただの手伝いが包丁の使い方を覚え、火加減について学び、不格好ながらひとつのメニューを完成させた日から始まったこの日は、マスターの作った一品がメニューに加わる。これをマスター贔屓のサーヴァント達が見逃すはずもなく、限定三十、多くても五十ほどの料理はあっという間に食べ尽くされる。もっと量を、品数をという声もあるが、マスターの腕が物理的に限界を迎えてもいいのかと厨房を取り仕切る者達にばっさり切り捨てられている。そうでもしなければあのお人好しのマスターは、自分の腕の限界も省みずに作ってしまうだろう。英断だ。
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    えんどう

    DONE▷ルルハワネタ①
    遅れてきた夏休み▽ルルハワの話
    ▽王様がちょっと凹んでいる
    ▽ぐだキャスギル





     現代では夏に休暇を取るものらしい。どこからかそんな情報が流れてきて、更には土地の余った観光地の南国がその休暇中の滞在先になると聞けば興味が湧くのも必然というものだろう。
    「……バカンス、か」
     主不在の部屋でそう呟いたギルガメッシュは、ふむ、と暫し思考し、蔵を開ける。するすると出てきたのは噂を聞いてから用意した現代の衣服。落ち着いたブルーのシャツに、真白、よりはやや目に馴染むやわらかい白色のパンツにブラウンのジャケット。装飾品は、まあ目立ちすぎなければいいだろう、と適当に数種類選び、ひとつひとつ身に着けていく。常の服装はエーテルで編まれた礼装のようなものだが、これはこの時代における物質を使用して作ったものだ。つまりは立香が普段まとっているものと同じ物質でできたもの……だが、そこに他意はない。バカンスであるし、その場に相応しい装束があるというものだ。これもそのひとつであるに過ぎない。決して、立香と同じ時代のものを身に着けたいという訳ではない。己が生きた時代より遥か未来であり、違う時代を生きている立香に合わせようという気など更々ない。立香とて恐らくは南国に合わせた水着やらを着るであろう。それと並んだ己の姿などは想像もしていない。…………もし立香が水着になっていたら、並び立つには不釣り合いな気もしたが、それは今に始まった事ではない。カルデアで用意された立香のための戦闘用礼装は現代人である立香に合わせて作られているし、ギルガメッシュが得た装束は生前にまとっていたものと大差ない。つまりは立香から見れば明らかに異民族との交流状態だと思われるが、現代人を依代にし、人格も現代人へ寄せた者以外大概、大概な格好をしているから今更である。あのマシュですら戦闘時には凡そ現代人とは思えぬ戦闘服で戦う。一部は現代の霊衣を持ってはいたか。
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    えんどう

    DONE▷VD2022
    ぜんぶあげる▽バレンタインっぽい話
    ▽転生記憶あり現パロです
    ▽ぐだキャスギル





     材料は三つだけ。チョコレートと生クリーム、それから仕上げ用のココアパウダー。チョコレートは、もう甘いものは食べ飽きているであろう彼にあわせて、ビターとミルクを半分ずつ。そのチョコレートは耐熱ボウルに割り入れておく。
     まずは生クリーム。弱火でゆっくりじっくり、沸騰直前まで温める。沸騰直前、などと言われてもどうなったら沸騰したと呼ぶのかすら知らないので、勿論事前に検索してある。インターネットというものはどこでも便利である。
     さて鍋の中の生クリームは、鍋の縁に沿って小さな泡をぷつぷつ浮かべている。ここで加熱を止め、先程割っておいたチョコレートにとろりと流し入れる。混ぜる時は耐熱性のヘラで。割ったチョコレートが完全に生クリームに溶けるまで、ヘラで上から下からかき混ぜる。あまりやり過ぎると温度が下がりそうだが、そう心配している間にクリームとチョコレートは混ざり合っていた。生クリームだけの時よりも更にとろりとしたクリーム状の液体。これにラップをかけ、冷蔵庫で三十分冷やす。タイマーをセットし、冷やす間に鍋などを片付け、タイマーを持って一旦キッチンから離れる。流石に三十分何もせずに待つというのは苦痛だ。読みかけの本など読んでいればあっという間だろう。
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