天井を見上げて 星空に縁のある人生を送ってきたと思う。
ミドルスクールの課外活動では、人工的な光から隔絶されたキャンプ場で流れ星を追いかけた。夜間飛行では何千フィート上空が深海へと変わり、星々と泳いだ。そこは平衡感覚が失われていく恐怖と向き合い続ける孤独な世界だった。
しかしどういうわけか最も鮮明に覚えているのは、そのふたつよりも前に見た、マーヴと通ったプラネタリウムと、マーヴがプレゼントしてくれた家庭用プロジェクターの星空だ。その後に見た流星群や真っ暗な空の美しさは、その星空には敵わなかった。プラネタリウムの学芸員の穏やかな声、隣で寝落ちしたマーヴの微かな寝息や、帰り道に食べたサンデーの真っ赤なイチゴシロップも、星々と共に輝いている。
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