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    カリフラワー

    @4ntm_hns

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    カリフラワー

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    マ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「爽やか」
    ぼんやりとお題に沿ったタイプの話です🍃
    これも爽やかだと思いたい…。

    #TGM
    #ルスマヴェ
    rousmavet
    #roosmav

    風が吹くとき 風が吹く。その風は木々を揺らす。踊る木の枝には高く跳ね上がったボールが触れそうになる。背の低い芝生は小さく震え、所々に広がるブランケットや新聞がめくれ上がる。
    「ね、外に出て良かったでしょ?」
    仰向けで寝転んだ恋人は本を開いたまま、文字を追いながら返事をする。
    「公園でゆっくりしようって提案したのは僕だよ」
    それからふっ、と息を漏らして笑う。
    よく晴れた休日。太陽の光に誘われた人々が、芝生の上で俺たちと同じように自由気ままに過ごしている。
    「じゃあ、マーヴの名案ってことにしといてあげる」
    隣を見下ろすと、整髪料のついていないブルネットの髪が風に吹かれてふわりと揺れる。柔らかいその髪に触れると、彼は開いた本を胸に置いた。それから空いた手を俺の方へ伸ばし、俺の口元にそっと触れた。俺は彼の手を取りその指先にキスをした。
    遠くの噴水が日光を反射し、水しぶきが光の粒になって舞い上がる。本の影の下から現れた宝石みたいな彼の両目が、眩しい光の下で閉じられた。
    また風が吹く。恋人のTシャツの裾がはためく。青い空を見上げ、真っ直ぐ伸びる飛行機雲の途切れた先で、ゆっくりと目を閉じた。

    広い公園を駆け抜ける春の風。その風は大きな木の上で葉が擦れ合う音を鳴らす。遠くで噴水の水音が聞こえる。風は時折、子どもたちのはしゃぐ声を連れてくる。
    「気持ちいい天気だね」
    心地良い掠れた声が降ってくる。目を閉じると広がる真っ暗な視界を、明るい日光がまぶたを透かして白く塗り替える。
    「……マーヴ、聞いてる?」
    いじらしい恋人の声。彼はもう一度同じ質問を繰り返す。
    「うん、いい天気だね」
    微かにギターの音が聞こえる。その音の持ち主がどこにいるのかはわからない。聞き覚えのあるメロディーに、穏やかで甘い歌声が加わる。この声にも聞き覚えがある。毎日家で聞いている。
    「君は本当に歌が上手だね。このままぐっすり眠れそうだ」
    歌が途切れて、笑い声が僕の額に降りかかった。その後すぐに、口髭の感触と可愛らしいキスの音が同時に伝わった。
    「そのまま目を閉じてて。俺の歌でゆっくり休んでよ」
    言われるまでもなく、彼の歌声の中へと意識が溶けていきそうだ。だけどなんだか眠るのがもったいなくて、目を閉じながらも彼の声に耳を傾ける。彼が時々歌詞を間違えて歌い直すたび、僕は吹き出してしまう。
    「マーヴ、正しい歌詞知らない?」
    「うーん、知らないなあ」
    彼は歌うのをやめて、鼻歌に変えた。
    もう一度風が吹く。子どもたちの声がいつの間にか増えている。ギターは今度は知らない曲を奏で始める。風は芝生の隙間をすり抜け、僕たちの元へとやってくる。

    「……この時間がずっと続けばいいのに。ね、マーヴ」
    「大丈夫、ずっと続くよ」
    風が止むことなんてないのだから。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」
    たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
    帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
     大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
     学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
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