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    生大福

    @cream_daifuku24
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    生大福

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    天満と仁兎
    なにが書きたかったんだ〜??

    「う〜っ、宿題終わんないんだぜ〜……」

    毎年やってくる、山のように積まれた宿題。
    鞄からも出してなかったから、それはぴかぴかの新品みたいだった。

    「まさか今年も光ちんの宿題を手伝うことになるなんてな」
    「…あはは」

    こういうの、皮肉交じりって言うのかな。
    に〜ちゃんが隣の椅子に座って、分からないとこはどこだ、とか聞いてくるけど……そんなことよりに〜ちゃん、怒ってる気がする。
    去年、散々に〜ちゃんたちに宿題を手伝ってもらったのに……。
    まるで変わらない今年のオレに友ちゃんも創ちゃんも随分困ってしまったみたいだった。

    「に〜ちゃんは厳しいんだぜ……」
    「終わるまでみっちりしごいてやるからな光ちん…?」
    「まだ8月も半分過ぎてないんだぜ?まだまだ夏休みなんだぜ!」
    「いいからペンを動かせ光ちん…!」

    いい加減に〜ちゃんを怒らせてしまいそうなので、オレは渋々宿題に取り掛かった。

    「xの値を、求めろ……?」
    「光ちん……それ、1年の復習内容」

    習ったはずなんだけど、ぜんぜん分からない。
    何かの文字をだいにゅう?して解くはずだったんだけど…。

    「光ちん、そこはな……」

    それを見かねたに〜ちゃんが、オレにもわかりやすいように数式を教えてくれた。

    「に〜ちゃん、すっごい分かりやすいんだぜ!先生みたい!」
    「んー?まぁレポートとか付けてるし……そういうのが上手くなってきたのかも?」

    に〜ちゃんは、アイドルをやりながらも大学に通うっていう、すごいことをしていて……。
    ええっと、確かこういうのを……

    「……二足の長靴なんだぜ?」
    「それを言うなら二足のわらじ!」

    がみがみ言いながらも、オレの隣に座って、ノートを覗き込んでくるに〜ちゃん。
    片方だけ伸ばしてる、きんいろの髪が、その動きに合わせてさらりと揺れた。

    「わ、ここって2年でやってた内容か。懐かし〜」

    そう隣で呟くに〜ちゃんは、なんら一年前と変わらないように見えてくる。
    でもここは夢ノ咲学院じゃなくて、ESビルの自室だし、に〜ちゃんはもうオレと同じ高校生じゃない。
    そんな些細なことを、オレは改めて強く自覚した。

    「ん〜……」

    カリカリとシャーペンを走らせる音と、それから、近くだからかな、に〜ちゃんのゆったりとした息遣いが感じられた。
    作業の進む、無音の空間。
    昔のオレだったなら、会話もないし、つまらないんだぜ〜!なんて言って放り出していたかもしれない。


    問題を進めようとするフリをして、そ〜っと、に〜ちゃんの肩に体を寄せる。

    「ん?どうしたんら光ちん……?」

    流石に肩に触れた感触に気付いたのかに〜ちゃんの怪訝そうな表情。
    と、いっても嫌そうにしてる感じは1ミリもしなかったから、もっと体を寄せてみる。

    「あはは、ちょっとくすぐったいぞ光ちん」
    「……♪」

    オレがぐいぐい頭を押し付けると、軽く身をよじらせたに〜ちゃん。
    目線2個ぶんくらい小さいに〜ちゃんだから、オレは少し屈みながらの姿勢になる。

    上目遣い気味に見上げると、細められた真っ赤な瞳。揺れるルビーの中にオレが写っていた。

    「……もしかして、寂しくなっちゃったのか?」
    「んぇっ?」

    オレが何か言うまでもなく、に〜ちゃんが頭を撫で始める。
    ふわふわとした、愛情が込められた手つき。
    わかってる、と言いたげな顔がオレの視界を遮った。

    「いいぞ光ちん♪今はに〜ちゃんに好きなだけ甘えろ〜♪」
    「ぅ、う〜……?」

    きもちいい、っていつもなら思うはずのに〜ちゃんのそれに、なんだかむかむかしてきた。
    違うんだぜに〜ちゃん、オレは甘えたいんじゃなくて……。
    そう思うのに、その理由が自分でも分からなくって、もやもやする。

    「に〜ちゃん……」
    「うん?に〜ちゃんだぞ〜♪」

    けれどに〜ちゃんのあったかい腕を振りほどく気にもなれなくて、そのまますとんと顔を落としていた。

    耳を当てると、とくとく。
    心臓の音が聞こえて、忙しなく、逸って、また廻る。
    こうしていると、まるでオレがに〜ちゃんをひとりじめしてるみたい?



    「……って、光ちんっ!!宿題ぜんぜん終わってないらろ〜っ!?」
    「…あっ!?そうなんだぜ、全く進んでないんだぜ!」

    に〜ちゃんに力強く押し戻されて、オレは再び書きかけのノートに向き合う。

    ねぇ友ちゃん、創ちゃん。
    今日ぐらい、に〜ちゃんを独占してもいいよね?
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