思春期シンドローム 美女しかいない! という歓声を聞いたのは、イルマを探して苛立ちを募らせていたときだった。おおかた新入生がエリザベッタと、ケロリを目にしたんだろう。そんなことより見通しが悪い。氷を溶かすか。とゆびさきに魔力を灯したところで勘づく。「美女」を見る目をした新入生たちの興味は、クララにまで向けられていた。
ゴオ、とてのひらの中でため込んだ魔力が爆発する。
気がつけば、氷を溶かすにしては強い火力の炎が、数人の新入生たちの間を駆け抜けていた。
「どいつもこいつもはしゃぎおって」
あろうことかあのクララまで、美女だなんだと言われるなんて。どうせ見た目と位階だけで騒ぎ立てているのだろう。そんな連中に家系能力をやすやす使ってやっては、また利用されかねない。
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