Gift【ギフト】
現代。日本。
平凡な高校生である俺にとっては、この平和な国での暮らしは真綿で首を絞められるようで、逆に息が詰まった。
朝食のトーストをかじり、テレビから垂れ流されるニュースに耳を傾ける。
『昨日の深夜、民家が燃えていると通報があり……警察は火に関係するギフトを持ったアプライヤーの犯行とみて調査を進めています』
「またぁ? 最近多いね、嫌だわ」
食卓の向かいに座ったお袋が大きくため息をつく。
「でもさ、アプライヤーっていいよな。カッコ良くね」
「なに言ってんの。カッコ良くたって悪かったって、犯罪に使ったらただの犯罪者だよ」
平凡平和が一番、と、俺のアプライヤーへの憧れをばっさり切り捨て、お袋は食事を急かすように睨んできた。
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