無駄な抵抗.
「トランクスさん、手……いいですか?」
並んで歩いていた悟飯にそう言われて、トランクスは首を傾げた。手がどうしたのだろうかと思っていると、悟飯にそっと手を握られた。
「あ……」
「すみません。嫌でしたか?」
「い、いえ……だっ、大丈夫です」
全然大丈夫ではなさそうな自分のどもり具合に、トランクスは慌てて咳払いした。久しぶりに会った「こちらの世界」の悟飯は、かつての少年の面影を残しながらも立派な青年に成長していた。背ももう追い抜かされてしまって、昔とは逆に見上げる形になった。それにもまだ慣れないというのに――。
(悟飯さん……手も大きくなったんだな……)
身長差からも予測できたことだが、実際にこうして自分の手を包み込まれると、その大きさを実感せざるを得ない。
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