Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    あおき

    ⚠飯トラ無法地帯⚠

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🍚 🐯 💕 👏
    POIPOI 77

    あおき

    ☆quiet follow

    未トラと現トラが双子のサキュバスなパラレル。

    よく噛んで召し上がれ!⑫(完).



    双子の悪魔が目を覚ましたのは、ほぼ同時だった。だが二人とも体を自由に起こすことは出来なかった。何故なら、兄のトランクスは兄の悟飯の腕に、弟のトランクスは弟の悟飯の腕に、それぞれ囚われていたからだ。その悟飯たちは、そろって寝息を立てていた。無防備に眠っている悟飯たちは、少し幼く見える気がした。その眠りを妨げないように、トランクスたちはひそひそと話し始めた。

    「いつの間に眠っちゃったんだろ……今、朝?」
    「いや、夜みたい。外暗いし」
    「夜?」

    兄のトランクスも窓に目を向けてみれば、確かに外には夜の闇が降りていた。そしてどこからか、フクロウの鳴き声らしきものまで聞こえて来た。しかし悟飯たちを探してこの洋館にやってきたのは、夜だったはずだ。ということは、これはつまり――朝チュンならぬ夜ホーだ。

    「ま、丸一日してたってこと?」
    「悟飯さんたちも人間離れした体力オバケだし、しかも吸血鬼化までしてるんだから、ありえなくはないんじゃない?」
    「………」

    絶句した兄のトランクスとは対照的に、弟のトランクスは自分の満足そうに擦った。途中から記憶は飛んでいても、悟飯の精でたっぷりと満たされているのを感じる。そして、それは兄のトランクスも同じことだった。

    「ね、噛まれるのめちゃくちゃ気持ちよくなかった?」
    「う、うん……」

    吸血されながらの交わりで、乱れまくっている様子はお互いにばっちりと見ている。今更否定しても仕方がない。弟のトランクスだけでなく、兄のトランクスも自分から血を吸ってほしいと『おねだり』したのを覚えている。その証拠に双子の悪魔の首元には悟飯たちが付けた牙の痕が、いくつも残っている。だがそれでも、兄のトランクスの頬は恥ずかしさで赤く染まってしまう。

    「これからは、悟飯さんたちにいっぱい血吸ってもらおうっと♡ 二人同時に吸ってもらったら、流石に貧血になるかな?」
    「そ、それなんだけど……ねえ、ちょっと悟飯さんの口の中、確かめてみてくれない?」
    「? 口の中…?」

    弟のトランクスは兄の意図がわからなかった。だが、それならばこれがてっとり早いと、眠っている弟の悟飯に嬉々として口付けた。そして悪戯好きな舌が悟飯の口内へ入り込むのは、あっという間のことだった。

    (いや、別にキスじゃなくていいんだけど……って、え…!?)

    弟の行動の素早さに苦笑していた兄のトランクスは、突然兄の悟飯に口付けられて驚いた。

    「ご、悟飯さ…っん、んぅ…♡」

    呼ぼうとした名前ごと、兄の悟飯の舌に絡め取られてしまい、兄のトランクスはうっとりと目を細めた。昨日もこうやって何度も飽きることなく口付けあった。その心地よさは変わらない。だが、ひとつだけ昨日と違うことがあった。

    (や、やっぱり……っん♡)

    兄のトランクスは自分の予想が当たったことを舌で感じ取った。だが、唇を貪り合う気持ちよさにその思考を奪われてしまう。結局、四人の誰もすぐには口付けを止めようとはしなかった。

    「ん……はっ、ぁ…♡」
    「おはよう、トランクス」
    「ご、悟飯さん……起きてたんですか?」
    「声掛けようと思ったら、トランクスたちが可愛いこと話し始めたから、つい」
    「もう……」

    どうやら兄の悟飯だけでなく、弟の悟飯も寝たふりをしていたらしい。だが弟のトランクスは寝起きから濃厚なキスが出来て満足で、それを責める気はなかった。だがひとつだけ、残念に思うことがあった。

    「牙……無くなっちゃってる……」
    「僕も今、気付いたんだ。トランクスさんは、何か心当たりがあるようですね?」
    「ええ……、確証はなかったんですが…悟飯さんたちは俺たちの血を沢山飲んだので、それで吸血鬼の血が打ち消されたんだと思います。悪魔の血には序列があって、俺たちの血筋は高位な方なんです」
    「「「へえ……」」」

    何故か弟のトランクスまでが納得の声を上げているのに、兄のトランクスは溜息を吐かずにいられない。そうだろうとは思ったが、弟は特に考えがあったわけではなく、血を吸われる快感に溺れていたようだ。

    (いや、まあ俺も途中からはそうだったけど――…)

    心の中でそう付け足すと、兄のトランクスは咳払いした。残る問題は、そもそもの悟飯たちの仕事である吸血鬼退治だけだ。だがそれもすぐさま解決した。

    「え? 吸血鬼? ああ、それなら……そこの砂がそうだよ」

    兄の悟飯が何でもないように指したのは、部屋の隅にある砂だった。てっきり古い洋館だから埃が積もっているのかと思ったが、それはこの館の主の成れの果てだったらしい。

    「ははは…退治するにはしたんだけど、二人とも噛まれちゃってさ」
    「トランクスさんたちが来てくれて本当に助かりました」
    「でも俺はちょっと残念だな~。もう一回ぐらい、血吸われながらヤってみたかったのに」

    唇を尖らせる弟のトランクスの耳元で、弟の悟飯は何かを囁いた。すると弟のトランクスの顔がパッと明るくなった。何を言ったかは聞こえなかったが、きっと何か腹を満たしてくれるような『美味しい話』だろう。

    「悟飯さん、約束だよ? いっぱいしてね? きっとだよ?」
    「うん、わかったわかった。……帰ったら、ね?」

    そう言うと、弟の悟飯は弟のトランクスの左手を取って唇を寄せた。そのまま口付けるのかと思ったが、弟の悟飯は薬指にガブリと薬指に噛みついた。弟のトランクスは薬指にくっきり残った歯形を見て、嬉しそうに目を細めた。

    「……トランクス、」
    「え、あ……俺はいいですっ!」

    弟たちの様子を見ていたトランクスは、兄の悟飯に声を掛けられて慌てて必死に首を横に振った。あんな痕を残されたら、自分の手を見る度に体が沸騰してしまう。とてもではないが、自分には耐えられない。

    「うん、俺も……あんまり君に噛みつくのは、気が進まなくて」
    「え…?」
    「こんなに痕になって……昨日痛かったろ、ごめんな」
    「悟飯さん……」

    兄のトランクスの首元に残る牙の痕が、兄の悟飯の目には痛々しくて仕方がなかった。だからそっと労わるように、そこに手を伸ばした。

    「んっ…♡」
    「……トランクス?」

    しかし指先が触れた瞬間に、兄のトランクスが漏らした何かを堪えるような声に、兄の悟飯は少しだけ思い直した。たまには、噛んでみるのも――悪くはないのかもしれない。

    そんなささやかな気づきを得た、今年のハロウィンだった。


    🎃ℌ𝔞𝔭𝔭𝔶 ℌ𝔞𝔩𝔩𝔬𝔴𝔢𝔢𝔫🦇
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏💞💕🍚🐯🍚🐯❤💒💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works