ああ、また死ねなかった。また殺してくれなかった。また私を置いていく。
みずからの体の破損など意識のそとに放り捨てて、同じように崩れかけの友人の体を掻き抱く。崩れたところから、ほろりと粒子と化して解けていくのを恨みがましく睨みつけた。引き留めるようにつかもうとしても、粒子は指の間からすり抜けていく。
その鼓動を確かめるために友人の胸の上に手をのせて、無防備にさらされた首筋に唇で触れる。薄れていく生の気配をどうにか感じたかった。
かすかな吐息がこれ以上空に溶けていかないようにくちづける。
どこにもいくな。ここにいろ。