オベぐだ♀アルトネリコ2パロ 大鐘堂のある首都から離れたとある荒野。そこには騎士が数人、I.P.Dレーヴァテイルが10人。そしてこの世界になくてはならない存在の2人…焔の御子立香と澪の御子オベロンがいた。
オベロンの傍らには3mは軽くあるであろう機械。インフェル・ピラの小型レプリカである。
「あの……オベロン様。今日は実験を行うと仰りましたが何の実験でしょう」
大きな鎧を纏った高身長白髪の騎士が困った顔をして問う。他の者も彼と同じな様で「えっ」と立香は驚く。
「えーっと……何も聞かされてないの?」
「はい。いきなり我々の所に来て『今から首都から離れた所にある荒野へ行くから早く支度をして!あと2、3人僕と一緒に研究室に来て!』……と」
次に「はい!」と元気よく手をあげる金髪の少女。I.P.Dレーヴァテイルの1人だ。
「私の所にもオベロン様が来て『今すぐI.P.Dレーヴァテイルを集めて。君も含めて10人!正門に集合ね!』って言われまして」
2人の話を聞いて立香ははあとため息をつく。まさか理由を言っていないとは思わなかった。
「オベロン、みんなに何も言ってなかったの?」
「あはは……ごめん忘れてた」
これにそれぞれため息をついたり、やれやれと肩を落としたりする。
オベロンはこういう人なのだ。数日部屋にこもって研究に明け暮れていたかと思えば、あまりにも集中しすぎたため倒れたり。後に生存確認をする係ができた。いきなり人を集めて発明したものや理論を実験する。ここにいる全員はその被害者達筆頭である。 怒りや呆れを通り越して達観の域に達するのではないかと危惧する者がいるとかいないとか。
倒れるまで研究する件はともかく、実験する時は前もって話してからするようになったし、急な実験でも理由を話してたからもう大丈夫だろう……と思っていたらこれだ。
「みんなすまないね。けれどこれは僕達の悲願に関係することだったから」
「悲願……ということは!」
「あぁ、メタファリカさ。」
グラスノインフェリアが起きる前、第一世紀以前から始まった計画。長い年月をかけてやっと――やっとここまで来たのだ。先人達が残した研究を、資料を、英智を、想いを形にする事ができたのだ。しかしまだだ。『これ』が本当に機能するのか。
「立香」
オベロンは懐からあるものを出した。
「……これは?」
「これはきみのEXEC_METAFALICA/.の対となすもの。METHOD_METAFALICA/. のヒュムネクリスタル。」
「え、オベロンが作ったの?」
「他に誰がいるんだい?」