また会うまでの…また会うまでの…
「アーノルド、これを持っていてくれるか?」
愛し合った後、ナタルがベッドの頭元にある棚に置いてあったものを俺に渡しながら言った。
ナタルが離艦する前日の夜。
俺は最後の日をナタルの部屋で過ごしていた。
手の上には小さな皮の巾着袋。
「中、見ていいですか」
俺が聞くとナタルは「ああ」と言った。
紐を解いて逆さにすると手の上にころりと転がり出たのは紫色の小さな石。
「これは?」
「アメジストというそうだ。きれいな色だろ?」
「これを俺に…ですか?」
「そうだ」
そう言うとナタルもハンガーにかけてある自分の上着のポケットから同じ袋を取り出した。
中から出たのは緑の石。
「こっちは翡翠」
ナタルに俺に見せながら言った。
922