雪降る駅、人が行き交う中でもその人は輝いていた。
まるで燃えるように輝く太陽のような人。
俺は思った、何百何千の人がいようとも俺はきっとこの人を見つけられると。
「鯉登中尉殿!」と声を掛けるとそれは間違いなく俺の待ち人であった。
「月島!すまなかった……っ」
線路が雪で埋もれて汽車の到着が遅れると駅の車掌が待合室で説明しているのを聞いていたので事情は知っていた。
「この大雪では仕方ありません。貴方こそ、線路の雪かきを手伝いは大変だったでしょう」
まるで見ていたかのような俺の言い分に中尉の目が見開かれる。
先程まで乗車していたはずなのに中尉のコートの袖が濡れていたのことを指摘すると「全くお前には隠し事は出来ないな」と半分嫌味なことを言われた。残り半分は誉め言葉として受け取っておこう。
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