きみに苺をあげるとき 私には十歳以上年の離れた兄がいる。兄は温和で優しい人だった。陶器のように白い肌だったが背が高く剣道で鍛えあげられた筋肉がしっかりとおりとても頼りになる人だった。
幼少の頃より可愛がってもらい、成人後も一人の人間として尊重してもらうこともあったが時折昔の癖が治らないのか未だ子供のように扱われることもあった。
そういえばこんなことがあった。
私がまだ小学校低学年の時、剣道の県大会で惜しくも二位だったことがあった。敗因は明確だった。私は頭に血が上ると冷静な判断ができず、つい突っ走ってしまうところがある。
試合中私は自身を驕り、相手のフェイントを見抜けず腕を振り上げてがら空きだった胴に見事一本を決められてしまったのだ。私は動揺を隠せず落ち着くこともできず、勝たなければという焦りだけで走り出した結果先程より綺麗に面を決められてしまったというわけだ。
2963