先導者と後援者
両手で、先導者の手を包み込むように握る。
「お前も、民に寄り添う時こうするだろ」
暗い顔をしている人や泣いている人を見るなり、近寄って優しく声をかける。そういう人こそ、見るとほおっておけない。そして、祝福を手渡すんだ。
「お前は独りじゃない。僕だって、お前を慕ってる他の御使いたちだっているんだ」
後援者と御使い
「パレードの準備の時間だからって呼びに行ったんだ」
「そしたら?」
「もう準備に取りかかっていたんだ。いつもの眠たげはどこやらで、浮き足立っていたよ」
「あいつらしいな」
普段は、やる気とは無縁なまである司祭。パレードのことになると、火がついたように手際よく手配を始める。それも、予定より数刻早く。
司祭と先導者
パレードは楽しいよ。だって面白いものが見れるから。うん、君のことだよ。先導者様。
「民には絶対に見せない、影を落とすさまとかね」
式の最中によく見られるそれは、きっと僕だけ気づいている。後援者様はいつもにこやかに見守っているし、ある御使い様も、いつも先導者様にひっついている割には見えていないみたい。
「君のその心は、一体どれだけ濁っているんだろう」
希望や明るい未来のために祈る、祈る。でも、
「願うのは、幸せだけじゃないでしょう?」