過去ログ6見て、と目配せをするのは一人の女だ。
無害な兎の面を被った、筋骨隆々な背の高い女が振りかぶる手に握るのはハチェット。
茂みに隠れた獲物に狙いを定める。兎の面の下の瞳が鋭く光った。
一瞬で狙いを定め、低いうめき声を発しながら投げつけたソレはまっすぐ飛び、刃は獣の脊椎を砕いて突き刺さった。今日の彼女の獲物はシベリアオオカミだ。銀色に輝く毛並みは血と骨髄で真っ赤に染まっていく。新鮮な血の香りは彼女にとって何よりも褒美だった。
どうだった?と声を発さず目配せを送るのは一人の小さな少女。涙に濡れた睫毛が月明かりで悲しげに震えた。一歩、素足が少女へと近づけば怯えた悲鳴が森の中に響き渡った。ハチェットを振りかぶったばかりの太い腕が、色素の薄いブロンドの頭に落ちる。ごくごく優しく、愛情に満ちた手つきで少女の頭を撫でた。細い髪の毛の感触を慈しむように。
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