ハロウィンとか相談所(37) この後に備え、二人とも夕食は軽めに済ませた。霊幻としては酒の力を借りたい所であったが、大事な1回目を大失敗に終わらせる可能性を考えてそれは控えた。
風呂は別々に入った。エクボからは一緒に入らないかと誘われたが、狭いことと、いきなり全裸はハードルが高過ぎると断った。しなければいけない準備もあったし。
こんなにドキドキとする誕生前夜は生まれて初めてだ、と霊幻は思う。子供の頃は人並みに喜んでいたと思う。しかし、それも歳を重ねるうちに薄れてきてしまった。「目出度い」という気持ちよりも「どーでもいい」の比重が大きくなってゆく。それは、何も霊幻に限った話ではない。歳をとる事にマイナスなイメージを持っている日本人は少なくない。
霊幻は壁の掛け時計に目をやる。今日の終わる瞬間が徐々に近づいてくる。