Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 55

    銀鳩堂

    ☆quiet follow

    ヤンクロ14話「決戦」TEXT版
    魔力が暴走しドラゴンへと化身したマレフィセント。魔法の武具を手に入れたフィリップ王子。二人の激突が迫る。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)連載中。このパートのインスパイア元は映画「マレフィセント」ですが独自の世界線へ入ったため捏造特盛。ツイステ要素あり。何でも許せる人向け。
    ※第一話と被る内容あり。矛盾も発生しているので統合版で要調整です。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第⑭話「決戦」 フィリップ王子と三人の妖精たちが城の前に駆けつけた時、城の人々は既にみな眠りに落ちていたが、ドラゴンと化したマレフィセントはなお咆哮を上げ魔力を解き放ち続けていた。
     毒々しい黄緑の霧が城門から吹き出し、爆風の余波に乗って吹き付けてくる。が、王子が美徳の盾を掲げると霧は盾に跳ね返されて消えていった。
     フォーナが目に涙をためてつぶやく。
    「マレフィセント……。なんてことなの、あんなに魔力を使ったら死んでしまうわ……」
    「もう遅いわ……。あれじゃもう元には戻れない……。王子、せめて彼女を止めてあげて下さい」
     と、メリーウェザーが言った。
    「そんな! もう望みは無いというの!?」
     とフォーナが言い返す。
     その時、皆の前に飛び出した小さな影があった。
     フローラだった。
    「だめよ、マレフィセント! それ以上はいけない! 戻れなくなるわ!!」
     その声が届いたのか、マレフィセントだったモノは、鱗に覆われた長い首をめぐらせてゆっくりと振り向いた。
     眼球がぐるりと動き、緑の瞳に三妖精と王子が映る。
     縦長の瞳孔がカッと開き、あぎとからもはや人語として聞き取るのも困難な咆哮ほうこうが放たれた。
    「にンげン……ろおず……わたサヌ!!」
     ドラゴンの背から立ちのぼる黒い瘴気しょうきから幾筋もの黒いつるが飛び出し地面をのたうち回った。それは次々と枝分かれし、みるみるあたり一面を覆ってゆく。
    (黒いいばらだ……。さっきの霧といい、なんて魔力なんだ……!!)
     ディアヴァルは全身の羽毛が逆立つのを感じた。こんな暴走を続けていたらどうなるのか。マレフィセントは元に戻れるのだろうか?
     手出しも出来ず見守る前で、繁茂はんもする茨が城中を覆い尽くそうとしていた。
    「フローラったら! 逆に怒らせちゃったわよ……」
     メリーウェザーがぼやく。
    「皆さんは下がって。私が戦います」
     と、妖精たちに言うと、王子は決然と剣を抜き愛馬を駈って城門へと走り始めた。
     馬はすぐに、茨に阻まれ足を止めたが、王子はひるまない。真実の剣を振るって茨を切り開いてゆく。
     その王子に向かって、黄緑の炎が襲いかかった。
    「王子! 危ない!!」
     妖精たちの悲鳴が響く。
     王子は、とっさに盾をかかげて炎を防いだ。炎は盾にあたり、周囲に飛び散る。周りで煽りを食らった茨が焦げてぶすぶすといぶり始める。
     何度も、何度も、ドラゴンの炎が王子を襲ったが、そのことごとくが盾で弾き返され、茨を焦がすばかりに終わった。
     王子はじわじわと茨を切り開いてついに城門への橋のたもとまでたどり着いた。そこで王子はあぶみを踏みしめ馬上で背筋を伸ばすと叫んだ。
    「マレフィセント殿! 私が真実の愛で彼女を幸せにしてみせます!! ローズをお返し下さい!!」
     ドラゴンの目に狂おしい光が宿った。大きくあぎとを開くと、轟音と共に鮮やかな黄緑の炎が吹き出し橋の上をめるように走る。城門や橋脚に絡み付くいばらが炎を吹き上げ、チリチリとよじれて灰になってゆく。
    「それが……貴女の答え、なのですか……」
     フィリップ王子の目に、憂いの色が宿った。
    「貴女を殺したくないのです……! どうか、怒りをしずめて下さい!!」
     ドラゴンは、まだ炎がちろちろと吹き出す顎を閉じると大きく上体をそらし、振り上げた前足を力強く足下へと振り下ろした。
     強靭きょうじんな筋肉の動きにつれて金属光沢を帯びた鱗がうねる。炎の色を反射し輝くさざ波がドラゴンの体表を走る。
     地響きと激しい振動。
     鋭くパチパチとぜる音とともに業火にあぶられた石橋にひびが入ってゆく。その罅を追うように不気味な軋み音が走る。
     ゆっくりと、やがて雪崩なだれるように橋が崩れはじめた。
     その崩壊の波濤はとうを蹴って、走り寄る白い影があった。
     轟音と舞い上がる土埃つちぼこりいましずまり切らぬ中、ドラゴンの目前にりんとして立つ白馬の青年の姿があった。
     ドラゴンの黄緑の瞳が驚きに見開かれる。
     頭を引き、あぎとを開いて炎を吐かんとしたその時、業火より一瞬早く一筋の光がひらめき、ドラゴンの喉元へと吸い込まれていった。
     世界が静止した。
     実際にはほんの一呼吸あるかないかの時間。
     激闘を見守る者たちにとっては永遠にも思えた瞬間。
     頭を大きくそらしたドラゴンの喉元には輝くつるぎが深く深くのめり込み、つかを握った青年が全体重を乗せてつらぬき通せとばかりに押し込んでいる。
     貫いた者と貫かれた者。その姿勢のまま、戦う両者は危うい均衡の中にいた。
     永遠にも思えた刹那せつなはゆっくりと崩れた。
     ドラゴンの巨躯きょくが静かにかしぎはじめ、やがて加速して大地へたおれた。
     今一度の轟音と振動。そして耳の痛くなるような静寂せいじゃく
     驚きを浮かべたままの瞳からゆっくりと緑光りょくこうが薄れ、薄く膜がはったような濁りに覆われてゆく。
     戦いは終わった。
     ディアヴァルは、倒れたマレフィセントの姿を呆然ぼうぜんと見下ろしていた。彼のあるじは死んだのだ……。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🌹🌹🙏❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
    2646

    related works

    recommended works