Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 55

    銀鳩堂

    ☆quiet follow

    ヤンクロ第二部25.5話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の25.5話。
    山火事回の前に入るべきパートです。書き忘れて山火事回を公開しちゃって、後から追加で書きました。支部に移植するときに調整します。(本文約1100文字)

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部25.5話「悪の女王」 妖精の森から舞い戻ったディアヴァルは、カラスの姿で村や町、城の中を飛び回り、聞き耳を立てて歩いた。
     そして、スノーホワイト姫が隣国の王子に見初みそめられて結婚することを知った。人間たちはみな、姫の結婚の発表で祝賀ムードに包まれていた。
     この国は新たな王を迎えることになるのだ。隣国の王子は、姫をめとることでこの国の王位も継承することになる。
     美しい姫とりりしい王子のカップルはお似合いだ、さぞよい治世となるだろう、と人々は口々に噂するのだった。
     その一方で、ハントマンが姫を殺そうとして果たせなかったことは周知の事実となり、姫本人や小人ドワーフたちの証言から、姫に毒りんごを食べさせた老婆は女王の化けた姿であろうと噂されていた。
     そうでないなら、なぜ女王は消えてしまったのだ? 無実なら彼女は今も城に居て、民を治めているはずだ。
     亡き女王は、もはや賢く美しい統治者とは見られなくなっていた。その美貌に嫉妬して姫を亡き者にしようとした悪の女王と噂されるようになっていたのだ。
     彼がその噂を初めて聞いたときは、怒りが湧き上がってきてこらえきれず、そのへんの木の枝をむしって投げ捨てて怒りを発散した。
     彼女はあんなにも一生懸命この国のために尽くしていたのに。最後の最後に過ちを犯してしまったのは確かだけれど、それまでの功績まで無かったことになってしまうなんて不公平ではないか。
     あの時と同じだ。マレフィセントが死んだあとも、人間は勝手な噂を作り上げて吹聴ふいちょうし、マレフィセントを極悪非道な悪役ヴィランにしてしまった。彼女だって裏切られ翼を奪われた被害者だったのに、そんなことはお構いなしだ。ただ一度の過ちで世紀の悪役ヴイラン「茨の魔女」の出来上がり。人々は無責任に噂を広め、酒場では酒のさかなにし、子どもを寝かしつけるときにはその名を使って脅すのだ。「早く寝ないと茨の魔女がさらいに来るよ」と。
     いまや美しき女王グリムヒルデは、「悪の女王Evil Qeen」と呼ばれ始めていた。もう誰も彼女の名を口にすることはない。まるで名前を口にすれば、呪われるとでも思っているかのようだった。
     心底忌々いまいましく腹が立ったけれど、この国を滅ぼすことは出来ないし、するつもりもなかった。それはこの国を愛したあの女性ひとの意志に背くことになるだろうから。民草が彼女を悪の華と呼び、恐れ憎むようになったとしても、彼らはその手を汚したわけではない。
     だが、あいつらは違う。女王を崖から追い落として殺したあいつらは。
     彼には、最愛の人を奪った奴らを許す気は、断じてなかった……。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
    2646

    related works

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第8話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第8話です。
    王妃と再会したディアヴァルは、ずっと側にいて欲しいと言われて幸福に酔いしれるのだった。そこへ誰かがドアを開けて入ってきた…。(本文約1630文字/豆知識は今回はお休みです。支部移植字に話数が減る予定なので今回はそれを見込んでの調整です)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚こうこつとなっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
     誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
     そんな心配が頭の中を駆け巡る。
     だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
    「おかあしゃま、あのね……」
     そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
    「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
    「そうよ、カラスさんが遊びに来てくれたのよ」
    1634

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第4話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第4話です。
    今回は王妃グリムヒルデと白雪姫の仲睦まじいティータイムにディアヴァルがお邪魔します。こんなにも仲睦まじい二人がなぜあんなことになってしまうのか、それは今後のお楽しみ…。(本文1940文字)

    ※今回の豆知識はWIRED誌から、鳥の「名付け」について。そう、鳥たちも「名前」を持っているのです……!
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部四話「小さなお茶会」 華やかな結婚式から数日後。王城の庭園で虫を漁っていたディアヴァルは、新王妃グリムヒルデと小さな女の子がやってくるのに気がついた。女の子は、結婚式でドレスの裳裾もすそを持っていたあの子だ。参列者からは姫と言われていた。年の頃は6歳かそこらだろうか。どうも人間の子どもの年齢はわかりにくい。
     グリムヒルデは、幼い姫の手を引いて庭園の東屋あずまやをめざしているようだ。片手にはバスケットを下げている。
    「東屋についたらおやつを頂きましょうね」と、グリムヒルデは小さな姫に声をかけた。
    「はい、おかあしゃま!」と元気よく姫が答える。
     ディアヴァルには、その声や口調は、見た感じの年齢より少しばかり幼く感じられた。だがその幼さは姫をより愛らしく見せているとも思った。
    3128

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部1.5話「出会い」後編
    構想が固まらず止まっていた二部ですが強引に再起動。試運転的に出会いシーンの続き、王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の出会いを書きました。
    アニメ版「白雪姫」には無いシーンで「みんなが知らない白雪姫」の筋立てとも違っていますが書きやすい方向に進んでみます。最後にカラス(鳥類)の豆知識(異種族恋愛事情)付き。豆知識は恒例にしたいです☺(本文1327文字)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部1.5話「王との出会い」(第一話前半はこちら⇨https://poipiku.com/3625622/6059932.html)


     大鴉おおがらすのディアヴァルは、美しい乙女の姿に見惚みほれていた。
     なんと美しい髪の毛。瞳も、顔も、何もかも完璧な美の化身としか思えない。いくらでも眺めていることができる。
     彼のこれまでの生涯で、こんな気持ちになるのは初めてのことだった。
     心臓がドキドキして胸が苦しく身体は熱くなって、クロウタドリの様に歌いたいような、ハヤブサの様に飛翔したくなるような、得も言われぬ心地がする。
     この奇妙な心地は何なのだろう。まるで何か魔法にでも掛かったみたいだ。そう思っているその時、乙女の家の門の前に立派な馬に乗った男が供を何人も連れて通りかかった。
    2445

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第3話
    後にクロウリーが学園長となるカラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第三話です。
    今回は王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の結婚式のシーンです。
    本文約1450文字+カラス豆知識約740文字のおまけ付き。今回の豆知識はカラスがお互いを確認する方法「コンタクトコール」についてです(資料リンクあり)。
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部三話「結婚式」 五月のよく晴れた朝、王城は晴ればれとした雰囲気に包まれていた。
     城のすべての尖塔に美しい三角旗がはためき、城門は春の花々を編み込んだ花綱で飾り立てられて開放されている。城門からは次々と来客が流れ込み、城はかつてない賑わいに沸き立っていた。
     今日は、この国の王が新たな王妃をめとる、その結婚の式典が催されるのだ。城の庭園は民草にも開放され、たくさんのご馳走と飲み物が振る舞われる。
     麗々しい式典のクライマックスは、正午の結婚の誓いだ。国の最も高位の聖職者がやってきて王と新たな王妃の誓いに立ち会い、この結婚に祝福を与えることになっている。
     その場には、もちろんディアヴァルも訪れていた。なにせ不吉とされてしまうカラスの身、あまりおおっぴらに姿を表すことはしなかったけれど、物陰から人々を観察し、ちらりとでもグリムヒルデの姿が見えないかと期待していたのだ。
    2210

    recommended works