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    ゆんの練り飴

    みちゃらめ

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    ゆんの練り飴

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    小噺って言ったら小噺▶あかし
    一日の終わり、ホームの舞い戻りの像の裏の浜辺で真っ赤な夕日を眺めていた。全てが燃えるように赤く染めあげられる。真っ黒な自分だけをのぞいては。その事に特に感慨もなくただぼんやり夕日を眺めている。
    ふと気づくといもうとのこの声が聞こえない。ホームの広場で他の星の子とはしゃぎ駆け回っていたはずだった。
    ふりかえるとホームは静まり返っており、星の子1人いない。みな帰ったようだ。
    またどこかへ行ったのか…。
    目を離すとすぐどこかへ行くいもうとのこ。探すかと1歩踏み出そうとしてやめた。
    すぐ足元にまるまって眠るいもうとのこがいた。桃色のケープは夕日で赤く染まり芝生と同化していて気づかなかった。
    しゃがみこんで顔を覗き込む。完璧に眠っているようだった。住処まで運ぶパターンだ。いつもの事だ。
    寝顔を眺めていると上から声がした。
    おとうとのこが雨林のゲートの上からこちらを見下ろしている。顔は、まぁ顰めっ面だ。
    そいつ、と言ってあごでいもうとを指し随分前からそこであんたを待っていたと言った。次いで思っていたよりぼんやりしてるんだな、あんた、と言うと、おとうとのこは身を翻して雨林のゲートの中に消えて行った。
    視線を戻し再び顔を覗き込む。頬をつつく。つまむ。目覚めない。どれくらいそうしていたかわからないが、日が沈み空が濃紺になり始めていた。いもうとのこのケープも桃色に戻っていた。あいつの言う通り、ぼんやりしているのか、俺は。

    未だ目覚めないいもうとのこを抱き上げ飛び立った。
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    TRAININGお題:「花火」「熱帯夜」「一途」
    ムルたちが花火を楽しむ横で、賢者の未来について語ろうとするブラッドリーとそれを止めるネロのお話です。
    優しいあなた 夏の夜、魔法舎に大きな花火が上がった。俺はそれを偶然厨房の窓から見ていて、相変わらずよくやるものだと、寸胴鍋を洗う手を止めてため息をついた。食堂から歓声が聞こえたから、多分そこにあのきらきらと消えてゆく炎を作った者(きっとムルだ)と賢者や、素直な西と南の魔法使いたちがいるのだろう。
     俺はそんなことを考えて、汗を拭いながらまた洗い物に戻った。魔法をかければ一瞬の出来事なのだが、そうはしたくないのが料理人として出来てしまったルーティーンというものだ。東の国では人間として振る舞っていたから、その癖が抜けないのもある。
     しかし暑い。北の国とも、東の国とも違う中央の暑さは体力を奪い、俺は鍋を洗い終える頃には汗だくになっていた。賢者がいた世界では、これを熱帯夜というのだという。賢者がいた世界に四季があるのは中央の国と一緒だが、涼しい顔をしたあの人は、ニホンよりずっと楽ですよとどこか訳知り顔で俺に告げたのだった。——しかし暑い。賢者がいた世界ではこの暑さは程度が知れているのかもしれないが、北の国生まれの俺には酷だった。夕食どきに汲んできた井戸水もぬるくなっているし、これのどこが楽なんだろう。信じられない。
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