きんちゃん日記 2 きんちゃんはお米が大好き。お好み焼きもおでんも餃子もおかずにしてご飯を食べるよ。もちろんたこ焼きもおかずだよ。ソースとマヨネーズさえかかっていれば、ホットケーキもたこ焼きだと勘違いしてしまうよ。たこパでは必ずと言っていいほどホットケーキも焼くよね! ホットケーキの中にチョコレートを入れるよね! きんちゃんにとっては、明石焼きもおかずだよ。お茶の間のみんなは、明石焼きで残った出汁はどうしているかな? きんちゃんはごくごく飲んじゃうよ。塩分過多には注意⭐︎
第3章 看板娘
確定申告が近づくと、お店は大忙し。パニパニパニックです。
「すみませーん」
あらら、こんなときにお客さんです。店内にいる圭介くんはワンちゃんから手が離せず、一虎くんは掃除に一生懸命で気が付きません。どうしよう〜!
「ウホッ」
わ! 椅子に座っていたきんちゃんがカウンターまでやって来ました。
「あ、取り寄せてもらっていたエサをもらいに来ました」
「ウホ?」
「え……?」
あちゃ〜、きんちゃんのウホでは意思疎通が難しいみたい。お客さんは困ってしまいました。
「あの、他の店員さんとかは……」
「お名前お伺いできますか?」
えー! きんちゃん、敬語も使えるみたい! すごいね〜!
「え、吉沢です」
「ウホ」
きんちゃんは元気よく頷いて、千冬くんがよく使っているファイルを開きました。
「ウホ、ウホ」
あ! 吉沢さんの名前を見つけたよ! バッチグーだね!
「あの、違ったら申し訳ないんですけど、もしかして吉沢亮くんと関係あったりしますか?」
「え、全然知らないです」
残念〜! きんちゃんは隙あらば吉沢亮と繋がろうとしちゃうんだ。よい子のみんなは、芸能人と繋がり目的でひとに声をかけるのはよそうね!
「ウホ、すみません〜(>_<) お客さまお綺麗で、鼻筋とかそっくりだったんで〜(>_<)」
わお! きんちゃんは絵文字も使えるんだね! すご〜い!
「そんなことないですよ〜」
「ウホッ」
「うふふっ」
バッターン!!
一虎くん、声がするほうを見たらきんちゃんが喋っていたから、驚いて箒を落としちゃった! ビッグサプライズ!
「おまっ、きんちゃん……喋んのか?」
「ウホッ、ウホウホッ」
一虎くんが目を見開くから、目玉が落っこちないか心配してるんだね。きんちゃんは優しいね。
「すいません。こいつゴンザエモンで、勝手にやって申し訳ないです」
「いえいえ、お喋りするゴンザエモンは初めて見ました」
「北大路欣也のきんちゃんって言うんすよ、こいつ。オレも喋ってんのは初めて聞いたんで、びっくりしました」
「ウホホッ」
***
「マジできんちゃん喋ってたんだよ」
「幻聴だろ」
「一虎くん寝てないの?」
「オマエより寝てるし」
「でもきんちゃん喋んねぇだろ」
海苔の佃煮でご飯を食べるきんちゃんを見ても、喋りません。食に勝るものはないヨネ!
「おい欣也、喋ってたな?」
「(>_<)」
「ほら! ほらいま喋った! 絵文字喋った!」
「落ち着けって、一虎。絵文字は口から出ねぇ」
「疲れてるんすね」
「(^_^;)」
「おい! 違うって! おい!」
一虎くんが必死にトトロ見たもん! と言いますが、圭介くんも千冬くんも相手にしてくれません。
「(>_<)」
きんちゃんはお喋りするととっても疲れちゃうんだ。米1升分のエネルギーを消費しちゃうんだよ。吉沢亮と繋がるためには、しかたない……よね⭐︎
ー完ー