Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    890_deadline

    @890_deadline

    @890_deadline

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 57

    890_deadline

    ☆quiet follow

    一部が世界一好きで、DIOでもDioでもなく「ディオ・ブランドー」が最愛のオタクのジョジョミュの感想(解釈)のメモ。時系列バラバラだけど忘れないうちに。

    原作、アニメと舞台ディオはバックボーンの解釈がかなり違うのであえて舞台ディオと呼ぶことにする。

    冒頭、石仮面を使用するアステカの儀式からスタート。漫画ではモノローグで触れられて、詳細は2部で深掘りされる内容なのでガッツリやってくれて一気に作品の雰囲気が出た。「石仮面って血が付くと針が出て、吸血鬼になれるアイテムなんでしょ?」というようなオタクのイメージを「代々血塗られた儀式に使用されてきた呪具」として再認識させてくれた。石仮面怖い。

    それからストーリー通りに話が進むのだけれど、舞台ディオの過去の深掘りが死ぬほど丁寧だった。「皆さん! 私たちはこういう解釈のディオ・ブランドーを展開します!」っていう説明がわかりやすい。
    原作では唯一愛している母親のドレスを売られた時に父親を見限るシーンがあるんだけど、舞台ではダリオに虐げられる母親を泣きながら止めて身を挺して庇ったりと、ダリオに本気で怯えるシーンが多い。母親と身を寄せ合って泣く横でダリオも自分が暴力的なことに嫌気が差して泣き始めるシーンが地獄すぎて辛かった。
    ディオの周りへの敵対心は父親からの日常的な虐待のせいという落とし込みをしているのだと思った。

    アニメ&原作ディオはダリオに初めっから冷たいが、舞台ディオは母親のドレスを売られるまでは甲斐甲斐しく世話をしていたらしい。(酒を買ってこいと言われるシーンで怯えて泣くシーンがあった)
    あと舞台ディオはよく泣く。幼少期も泣くし、父親のトラウマに縛られて涙声になるし、ジョナサンに殴るのをやめられなかった時ももちろん泣く。作中でジョナサンは「な、涙……」と一度呟くが、観客は30回くらい同じことを思った。かわいそう。

    一部冒頭の泥星の詩の考察はオタクの中では諸説あるが、舞台ディオは泥過激派だった。ジョジョは星過激派で父親の前で大喧嘩するシーンがあった。

    それから、凄惨な過去に縛られてきた心の弱い「自分(人間)」からの脱却を「人間をやめるぞ」の台詞かけてきたのが非常にエモかった。吸血鬼になったディオは原作通りハイになってるんだけど、今までの人間ディオの演技は卑屈さやトラウマからの心の痛みがかなり強く出ていたので、ケタケタサイコに笑い始めるシーンは本来のディオの人間性を失ってしまったように思えた。(石仮面は吸血鬼にする+モブ男のように暴力性にかなりブーストがかかる物なので、舞台解釈としてディオの人間性の喪失が強く出ているように感じた。ディオが自ら手放してしまった青春の清算をしに行くジョナサンの構図が美しかった。そんな石仮面でもダリオから逃れられない舞台ディオ、不憫)

    ジョースター邸に来る前後の劇中歌で「俺は(貴族、優等生の)仮面をかぶる」という歌詞があるので、舞台は「ディオの人生には常に『仮面』がついている」という解釈がなされているように思えた。サッとわざわざ滑り込んで群衆の中に登場したり、やりすぎなくらい優雅に振る舞うディオ。それが母親の教育と本の知識で得たディオの中の「貴族」なのかもしれないと思った。テーブルマナーは「母親から仕込まれたのさ」と得意げに言うディオにオタクはにっこり。

    少年時代のディオがジョナサンの友達に「ジョナサンと仲良くするな」みたいな触れ込みをするシーンがある。舞台ディオはボクシングでストーリー通りにジョナサンの目に指こそぶち込むが「これはルール違反だ、優勝は僕じゃない」と正当なルール通りの主張していた。わざと認めることで「非を認められるやつだ!」と思われることが目的だったのかもしれないのだが、舞台ディオは父親の幻影に常に縛られているので「暴力」を本気で否定したかったのかもしれない。

    舞台ディオは反射的に暴力をしてしまう自分に嫌気がさしている。(エリナを平手打ちのシーンは本気でショックを受けていた、母親が殴られたりしていたのが辛かったのに同じことをしてしまった罪悪感)貴族の中に放り込まれても違和感のないテーブルマナーと、ナンバーワンの知識はディオの素質だけではなく、「暴力よりも確かな能力で先を生きていきたい」という舞台ディオの理由づけをしている。舞台ディオは泣きながら母の為に勉強していたのだと思う。薬の知識もそこで得たのかなあ、など。

    ダリオが「聞こえるかディオ」ってずっと定期的に歌で語りかけてくるんだけど、屋敷炎上してからの二幕の明けでディオが同じ歌を「聞こえるかジョジョ」って歌う。自分を縛る憎きダリオと同じ歌を歌うのは、心の底で自分に恐怖で縛られてほしい深層心理がありそう。
    それからエリナがディオに続けて「聞こえますかジョナサン」って同じ歌をジョナサンに歌う。そんな二人の語りかけ応えるジョナサンの歌はなくて(私の記憶にないだけかも)、最期もディオに応える事はせずに亡くなるので本当に罪な男だと思いました。命を賭すのはディオ、気持ちを捧げるのはエリナ、っていう残酷な男。
    舞台ジョナサンはひたすらに壊れてしまったディオの命を清算するために生き抜いた印象。

    ラストまでエリナの本当の赤ちゃんの話がなかったのと、「美しすぎます」がカットされてたのでエリナがやや置いてきぼりな印象だった。ジョジョの奇妙な冒険は命が繋がれていく螺旋の構図が美しい作品なので、赤ちゃんがいることは語ってほしかった。最後の語りは実況王じゃなくてエリナが良かったな……。

    首だけディオのシーンは、縦長の棺桶から出てきた舞台ディオの首周りをスポットで抜いてた。原作派は「首だけ」という先入観があるが、舞台の解釈としては「顔周り以外はグチャグチャなんだよ」っていう演出なのかと思った(「体が熱い、溶けていく」っていう台詞もあったので)
    スティンギーアイズはバカデカ目玉が舞台に投影されてビームライトがジョナサンを貫くので迫力がすごかった。

    「し、死んでいる……」は原作アニメはビックリしてるん(あのジョナサンが死ぬと思わなかった、っていう驚きらしい。殺したかったくせに、と言う愚かさが愛おしい)だけど、舞台ディオの言い方は本当に悲しそうな口調だった。母親を喪ったシーンときと似た言葉のトーンに感じた。トラウマの中にいる舞台ディオなので、そのタイミングでようやく図らずも背中合わせに生きてきた片割れのジョナサンを失ってしまった命と存在の重みをそこで知ったのかもしれない。それから100年海の底でジョナサンの存在とだけ共に生きるディオ。100年傷を癒していたのだが、舞台ディオはジョナサンとの関係を自分の中で解釈することにかかった時間が「100年」かかるのではと思わせるくらいジョナサンへの最後の「し、死んでいる……」は酷く辛そうに聞こえた。
    ディオとの青春と奇妙な友情をジョナサンはずっと感じてきたけど、ディオはそのタイミングで本気でそれらを感じ取ったのかもしれない。屋敷でも同調するセリフがあったけれど、それは「確かにそうだよなあ!」というテンションからのもので、本気でジョナサンとの背中合わせの人生を生きてきたことの存在の重みを知ったのはこのシーンなのかなと。

    ディオは泥派で、少年時代は「貧民街には太陽すら差さないのにふざけるな、そんな現状すら貴族は知らないのか」っていうスタンス。泥を見た=諦めるのではなく「生き足掻く」という解釈だった。ディオの中では星を見る=希望を捨てない、というよりは儚げに諦める?ような解釈だったのかもしれない。絶対に星なんか見ない、星は信じず生き足掻く事を主張していたディオが、人ならざる力を得られる石仮面を使ってようやく「星を目指す」事を自分の選択肢に持てるようになる。そしてジョナサン体を得て、「二人で一人」になってようやく「星を掴む」事を選べるようになった。

    ラストに、一等星にむかって手を伸ばすディオの腕を強く掴み、みんなから背を向けて足早に二人きりで去っていくジョナサンが居る。「お前を地獄へ連れていく」という台詞がある(うろ覚え)がそれを体現したシーンに思えた。原作アニメの二人で一人後のディオはジョナサンだけにしか心を許さない(リスペクトしない)し、その後の子孫たちも一切才能を認めていないので、ここはよいシーンだった。ジョナサンの為すことにしか決して納得しないディオ。

    ディオについては原作から乖離がないとは言えないので原作を落とし込めよ!と言う見方をする人は舞台ディオを受け入れられないかもしれないと思ったけれど、さまざまな世界線のある「ジョジョ」なので、一巡した後の「一部」だと思ってほしいなぁと思った。

    本当に筆舌にし難い憤りを覚えさせられた運営ですが、機会があればまた見たい。作品に罪はないし最愛の作品なので。出来は素晴らしいので、今後見られる方も楽しんでほしい。サントラ待ってます。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👍💯💯💯💯💯💯💯💯💯💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works