「掴まってな」
タップが取った手首を、しかしシャカールは振り払って言う。
「いい」
「おっと遠慮か?そんなの今更、」
「違ェよ爪だ爪。落としてねンだよ、傷つけちまうだろ」
「ああ、それが?」
「アァ?意味分かって、」
「分かってないのはアンタの方さ」
タップの掌がシャカールの下腹に置かれる。
薄い皮膚に、じとりと熱が伝っていく。
「いいかい、アタシは今からアンタの身体のずっと深い場所に傷をつけようとしてるんだ。それに比べりゃ爪傷の10や20、何の苦でもないね」
「ッ、」
「今更理解したって?心の準備が整うまでお預けにするかい?」
離れかけるタップの手を、今度はシャカールがひったくるように掴む。
「Huh」
「上等だよ、刻んでもらおうじゃねェか」
「ハハ、いいねえ!」
声を上げて笑った後。
タップのその顔がゼロまで迫って、囁いた。
「愛してるよ、シャカール」