初夏の香りと迷いごと中学二年生の夏のとある日。
授業の体育にてグラウンドでサッカーをしていた僕らは、前年を軽く超えるとてつもない暑さに真正面から襲われていた。
「シュウ〜あつい…………」
今は、隣のクラスの試合を観戦中。いつも通り僕の横にはルカが座っている。
「やっぱり、日陰代わろうよ。僕は大丈夫だから」
試合交代となった瞬間真っ先に駆け出した男子諸君は、広いグラウンドの隅に一本だけ堂々と生えた学校のシンボルのような大木の影に皆して集まった。
その初動にやや遅れを取った僕らが並んでその段に腰掛ければ、ちょうどふたりのどちらかが日向にはみ出る状態となってしまったのだ。
さらっとルカが日陰に入れるように後ろに回っていたところ「シュウ!日陰入って!」とまっすぐな笑顔を向けられ、僕は申し訳なく思いながら譲られた席に座ったのであった。
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