偽善「ココ君、お金が欲しい」
「この何もない部屋じゃ稼げねぇな」
「じゃあ、殺し屋雇ってオレを殺すよう依頼して下さい」
「……タダでそれは出来ねぇし、第一マイキーがその殺し屋を殺して、依頼したオレも殺される未来しかないから無理だな」
「ココ君が殺されるのは嫌だ……」
「じゃあ、諦めろ」
膝に顔を埋めるようにして花垣は唸る。
オレはイヌピーの件もあるからなのか、梵天の他のメンバーの中でも比較的花垣の態度は柔らかいほうだった。花垣の言葉は冗談のような、冗談でないような微妙なところではあったが……。
ため息を吐くと武道は一瞬びくついたものの、不安気な顔をこちらに向ける。
「イヌピー君達は…………」
花垣が言葉を続けなくても、その後に続く言葉は知っていた。
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