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    toure1no

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    🎴達が現代に転生しているパラレル
    捏造多々、年齢操作、キャラ崩壊など注意
    鬼舞→炭
    途中までの進捗

    迷惑メールからはじまる恋愛事件 炭治郎は機械音痴だ。
     パソコンを触れば何故かエラーコードが出まくり、洗濯機を使えばなぜか回らなくなり、テレビを付ければ画面や音が途切れるといった風に。
     それほどお金に余裕がある訳ではなく、修理費は馬鹿にならない。妹である禰豆子に機械を触らないでと言われてしまうほど。
     唯一無事であるのは子供の頃から料理をしていたため使い方を熟知している料理器具と、何度も故障と復活を乗り越えて来た歴戦の勇士並みのスマホだけだった。
     スマホは現代の情報社会において必要不可欠と言われるほど便利な物だ。そのため、禰豆子は兄である炭治郎のスマホが何度も壊れてもめげずに教え、炭治郎が壊さないように特訓し続けた。
     その日の目が出たのは炭治郎が専門学校に入ってからの頃だった。
     様々な学部が併設された学校であり、寮もある。自身が作りたい日本のパンを主に教えており、その勉強をするために入学した。
     炭治郎が家から離れるため家族が心配していたが、スマホが使用出来るようになったことで連絡が取れるようになり、許可が出たのだ。
     しかし、炭治郎は壊さなくなったものの、使えるのは必要最低限であるメール、電話のみだった。
     それだけであるが炭治郎はパンが作ることが出来れば、家族と連絡が取ることが出来ればそれで良かった。

     良かった……が、最近気になることがあった。

     知らないアドレスからのメールが来るのだ。しかも、文面は「会えないか?」という文字だけの。
     炭治郎は機械音痴だ。
     迷惑メールが来るようなURLを踏むことはない……というより調べることすらない。
     ならば、炭治郎のメールアドレスを知っている誰かから経由されたのかと考えるかもしれないが、アドレスにあるのは家族と学校のメール、学部は違うものの、仲良くなった先輩である善逸と同年である伊之助しかいない。信頼でき、そんなことをするはずはないと断言出来るほど。
     なぜなら、前世からの縁があるからだ。
     炭治郎には前世の記憶がある。
     鬼に大好きな家族を殺され、しかも、鬼にされた妹を助けるために鬼狩である鬼殺隊に入っていた。仲間と協力し、諸悪の根源であった鬼舞辻無惨を倒すことができ、それから平穏に余生を過ごした。
     そして、今世では、その鬼に殺された家族と何の因果かまた家族となり、禰豆子は人間のまま炭治郎の妹であった。そして、命を互いに預けながら戦った友である善逸と伊之助とは現代でも出会い、変わらず信頼関係で結ばれていた。
     その誰もが炭治郎に害を与えはしないだろう。
     ともかく、炭治郎はメールと電話──その中でも電話を掛ける・受ける、メールを送る・返すと初歩的なことしか知らない。迷惑メールの振り分けなどもってのほかだ。
     不思議だと思いつつ炭治郎はそのメールを何も触らず、見るだけにとどまったのだった。



     学生として早3ヶ月が過ぎようとしていた。授業が終わり自主練するために居残り、パンを作っている所、決まった時間である夜の7時に毎回スマホの通知音が鳴った。
     初期設定から音は変えていないため慣れ親しんだ音。そして、パン作り中は時間を忘れて夢中になっているのでその音でもうそんな時間かと我に帰ることが出来た。寮に8時までに帰らなければ食堂が閉まってしまうと片付けを行う。
     炭治郎は今まで家族が居たのに、家から離れたことでホームシックになっていた。そんな時に目覚ましのような、炭治郎を心配してくれるような……メール通知音に同じ文字。それに心がほっこりとするような部分もあった。
     相手はどうしてこれほどまでに炭治郎にメールを送り続けているのだろうか。迷惑メールにしてはURLなど貼っていることもなく。そもそも、炭治郎だと分かっているのだろうか?飽きずに送り続けているのにも何か理由があるのか……それほど会いたいのか。
     想像してしまうほど炭治郎は気になってくるようになっていた。
     そうこう考えている内にパンが焼き上がる音が鳴り、それを袋に詰めて寮への道を行く。スマホを開けると案の定『会えないか?』の文面のメール。
     それに返してみたいという気持ちが沸き起こっていた。
     しかし、妹である禰豆子にスマホの使用に当たっての注意事項の中に知らないメールが来たら開けない返信しない、というものがあった。
     そのため、返信しようとして踏み留まるのだった。

     そんな日々を過ごしている所、台風がやってきた。学校から休みの連絡が入り、寮に居るしかなかった。
     調理場は自由に使えることは出来ず、教科書やパンの本を読むしかなかった。長時間読み耽っていると、お腹が鳴った所で炭治郎は時計を確認し、気が付いた。
     現在、午後7時15分。慣れ親しんだ音が鳴らなかったことに──。
     いつもであれば7時に鳴っていたはず。それが鳴らなかった。音に気付かなかったのかと慌ててスマホを確認するも何もなく……途端に炭治郎は不安になる。
     相手に何かあったのだろうか、今日が台風だからだろうか、炭治郎が反応しなかったことで相手が諦めたのかと。
     食欲も失せて、ずっとメールが来ないスマホを見続けるも夜の8時となってのメールは来なかった。
     炭治郎はそこで、妹からの忠告を破ることにしてしまった。返信を押す。
     絵文字、顔文字など使える訳もなく『今日はどうしたんですか?』のみ。覚束ない指を動かして文字を打ち、送信を押す。
     妹に申し訳ない気持ち、自身の欲が勝ってしまったことに後悔が募る。
     しかし、すぐには返信など来ないだろうと、そもそも相手が返信するかどうかと炭治郎が思っているとスマホの通知音が鳴った。
     慌ててメールを開けるといつもの文面とは違った。

    『台風で仕事が忙しく、残らなければならなかった』

     これは、迷惑メールなのだろうか?炭治郎は思考する。
     仕事ということは相手は社会人で、台風で帰れなかった。または、メールを送れなかったことを言っているのか。いや、嘘を付いている可能性も否定出来ないと……しかし、悪い人ではないと信じてみたいと感情もあった。返信を再度押す。

    『お疲れ様です。お仕事は何をされているんですか?』

     そう送れば、すぐに返信が来る。

    『会えば分かるだろう』

     それほどメールの相手は会いたいのか。炭治郎は危険も承知で決心する。

    『いつ会えますか』

     手に汗を握りながら送信ボタンを押す。
     そして、変わらずすぐに返信が来る。

    『台風でなければ予定などいつでも空けれる』

     ひねくれたような言い回し。だが、炭治郎には分かった。炭治郎の都合の良い時で会おうということだと……。明日は日曜日で学校が休みでちょうどいいだろうと文字を打つ。

    『では、明日に会いましょう』

     それからメールのやり取りをいくつか行い、学校から少し離れたカフェで待ち合わせることになった。
     相手はどんな人だろうか。悪戯だろうか、それとも詐欺なのか。しかし、炭治郎は自身をなんとなく悪用するような相手ではないと感じていた。



     翌日となり、夕食を食べそこねていたので多めの朝食をとってから普段着を着て目的地へ向かう。
     電車に揺られつつ、メールの相手がどんな人だろうかと思いつつ流れる景色を眺める。
     人々が行き交う平和な世界。好きなことをして、好きな夢を持って……炭治郎も同じくそういう気持ちで居たものの、心の隅っこの方でモヤモヤとした感情があることに気付いていた。
     何か刺激が足りないような…………。
     ボーッと思考に耽っていると、いつの間にか目的地近くの駅に着いていた。急いで降りるのだった。

     ──もうすぐで会える。

     引っ越した時、入学式の時などのような久々の緊張感。自然と手に力が入るもすぐに待ち合わせのカフェへと着いてしまった。
     時計を見るも思ったよりも早く着いてしまい迷惑をかけないため時間を潰そうと思うものの、見知らぬ場所であったため、反対に遅れてしまうかもしれないと店の前で悩んでいると店の扉が開いてしまう。
     お洒落なカフェコートに身を包んだ白髪交じりの男性。このカフェのマスターだろうか。炭治郎が驚きで何も言えないでいると、中へ促される。
     そして、驚く言葉を耳にする。
    「本日は貸し切りでございます。ゆるりとお待ち下さい」
     貸し切りってどういうことだろうと炭治郎は思いながらもマスターにおされ、席に着く。
     古き良さというのか、炭治郎にとっては居心地の良い場所だった。緊張が少し解れて来たところで、豊潤な薫りのするコーヒーが目の前に置かれる。
    「お相手様が来るまでご堪能下さい」
     マスターに柔らかく微笑まれ、こちらも自然と炭治郎も笑顔で返した。
     そして、薫りを楽しみつつコーヒーを飲めば、身体中に美味しさが滲み渡るような暖かく幸せな気持ち。
     今まで飲んだことがないほどの美味しさのコーヒー。それに感動しつつゆっくりと飲んでいく。
     すると、カフェの扉が開いた。時計を確認するといつの間にか待ち合わせの時間となっていた。来たのはあのメールの相手だろう。
     途端に、先程の緊張が蘇ってくる。
     足音が近づき、その元へと視線を滑らせ──炭治郎は言葉を失った。

     夏真っ盛りであるのに白い陶器のような肌。身を包んだスーツは見て分かるほど高級でシワがひとつも見えず。鼻筋の通った綺麗な顔はさぞ現代でもモテるだろうと思うほどの美男。しかし、血のような赤い目が人を遠ざけるような鋭さを持っていた。
     そう前世で戦った……何度も苦しめられ、何度も憎んだあの仇が目の前に居た。思わず立ち上がって指を差す。

    「鬼舞辻無惨ッ!!なんでお前がここ……に……」

     炭治郎は言った瞬間に、行き着いた答えにとてつもなく後悔した。
     そう、あの『会えないか?』と送り続けていたのが、あの憎き相手だったのだ。
     少しでも心を許してしまった事実を……家族にも、無惨に殺されてしまった罪もない人に……なによりも禰豆子に申し訳なさが込み上げる。

    「なんで、……なんで俺に会いたかったんだ!!」

     前世の炭治郎が無惨を殺した。復讐でもしたいのか。それならば、会いたいという前に殺して欲しかったと心の辛さに炭治郎の目から涙が溢れだしてくる。
     それをどう感じたのか、無惨は一度目を伏せてから、何故か炭治郎の前で3本の赤い薔薇を差し出した。

    「好きだ、炭治郎」

     炭治郎は一瞬言われた意味が分からなかったが、とてつもなく怒りがわいた。そして、無惨から薔薇を奪って彼の顔に叩きつけた。
     赤い薔薇の花弁が無残にも舞う。

    「俺は大っ嫌いだ!!」

     炭治郎は泣きながらマスターのいるキッチンまで行き、うるさくしてすみませんと謝罪してから早々にカフェから出たのだった。
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