フロマティ観用少…パロ。「貴方様は本当に、豪運の持ち主ですよ」
もうわかっています! と、純白のヴェールを被った店員は、金細工の仮面の下で静かに微笑んでいる。
豪奢な調度品で揃えられた店内。
頭の芯がクラクラとする程に焚かれた甘い香。
そして、この店で商品として扱われているのは、
「よくご覧下さい、少々古いタイプではありますが……極上品で御座います」
まるで生きている人間そっくりの生き人形、観用少年・観用少女である。
幼い少年少女の姿を模した彼らは、”名人”と称される職人の手によって一体一体が丹精込めて育て上げられ、皆一様に見目麗しい容姿を持ち、特別なミルクと甘い砂糖菓子だけで育つという。
また人形本体は勿論、購入後の食餌代や被服費、身の回りの品々その全てが一般人には手が届かぬ程に高価であり、貴族の嗜みと揶揄される事もある。
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