ごとしの結婚アンソロジー参加のお知らせ 疲れた。
この祝いの席に相応しい言葉ではないが、辟易とした気持ちをどうにか飲み込んで、しのぶは壁に寄りかかった。
今日の装いは丁寧に結い上げた髪に肌障りも素晴らしい白藍にレースのワンピース。友人の幸せを祝うのは喜ばしいし、今日の彼女は美しかった。白磁のようなウエディングドレスに長く伸びるアイボリーのレース。花婿の顔を見て頬を赤くする様子はしのぶの心も温かくする。六月の花嫁は美しい顔で教会で愛を誓い、初めてのようなキスを交わして、飛ばしたブーケはしのぶの手元へと落ちた。
しかしだ。先ほどのように「普通の女の幸せ」を掴んだ同級生たちに、ほら早く、私たちと同じく普通に幸せになりなさいと次々と笑顔で言われると思うとため息も出る。いわく「私もいまの旦那に会うまでは結婚なんてしないと思ってたもの、あなたも大丈夫よ」。毎度言われるこんな言葉にもいい加減慣れたが、そもそもなにが「大丈夫」なのか、こういう人を見下す善意のことをなんて言うのだっけ。
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