いい夫婦の日 今日の分の手紙を確認していると一通、私宛の手紙が入っており不思議になって封を開ける。中身は【彼】からのもので、今日の夜に小屋を尋ねると言ったもので私は嬉しさのあまりスキップしながら手紙を届けに行った。
***
「オランピア」
手紙を届け終わってやってきたのはコトワリ。けれど、今日の手紙のことで言いたいことがあったとかではない。
「…玄葉、いる?」
「ええ、奥に」
「…大丈夫?」
「ええ」
朱砂に許してもらい奥へと入ると玄葉の姿を見つけ心を躍らせながら近づく。
「玄葉、」
「!……白夜、来てたのか」
「手紙を届け終わって今さっき」
「そっか」
「…でも、これが本当の意味で今日最後の手紙」
そう言って一通の手紙を玄葉に渡す。
「手紙、ありがとう。返事書いたからっ!」
そういうと逃げるように立ち去る。どうせ夜には会うことになるのだから返事はあの小屋で聞くことにしよう。
***
「い、いらっしゃい!玄葉!」
そう扉を開けた時私に飛び込んできたのは花束だった。
「わ!」
「よ、白夜。いい夜だな、こんばんは」
「こんばんは…えっと、これ…どうしたの?」
「まあまあ、話しは中でいいか?」
「ええ…」
玄葉を中に入れると玄葉はゆっくりと話し出す。
「外の国では今日は【いい夫婦の日】らしいんだよ」
「いい夫婦…?」
「ああ、だから…花嫁さん孝行っていうか…俺が、白夜に何かしたかったんだよ」
「ふふ…」
「白夜?」
「嬉しい。嬉しいの玄葉、ああでも…この小屋花瓶がないのよね…」
「じゃあ、今度一緒に買いに行こう」
「…デートね?」
「ああ、そのつもり」
「嬉しいわ」
ふふ、と笑い合って私は玄葉の胸に飛び込んだ。異国の文化は何一つわからなかったけれど、こうやって玄葉が会いに来てくれるのなら【いい夫婦の日】というものも悪くはないと思えるのだった。
-Fin-