未熟な恋 「アイビー、即位おめでとうございます」
「し、神竜様!?」
招待していたこともあって来ることは知ってはいたがいざリュールが目の前に来ると緊張やら今の自分はリュールと並んでおかしくはないかといった乙女思考が上回ってしまい、アイビーは声を思わずうわずった声を上げた。
「はい、私です」
にこにことアイビーの様子に気づいていないリュールは爽やかな笑みを浮かべる。
「…あ、えと、その…ありがとう。神竜様…今日来てくれて、」
「そんなの当たり前です」
「当たり前なの?」
「はい。アイビーは私の仲間ですし、大切な友人ですし…」
「友人…そう…」
自分から距離をとっていつつも【友人】と言われ少なからずアイビーはショックを受けた。
「はい、友人で…特別な存在です」
「とく…べつ…」
「はい、アイビーは私の特別ですよ」
「っつ…!!!!」
リュールは何の気無しに言った言葉だがその言葉だけでアイビーの頬に熱が集まっていく。
「あ、あの…神竜様…その…ありがとう、すごく嬉しいわ…その、それに…」
「?」
「私もあなたが…神竜様が特別よ…私の、神様」
勇気を振り絞って手を握ると少しだけリュールは珍しく頬を染めて笑った。
「す、すいません…なんだか、恥ずかしくて……変ですね」
「へ、変じゃないわ!あ、ありがとう…」
照れ照れと恥ずかしながら手を握り合って笑い合う二人。初々しすぎるその様子をイルシオンの王城兵や使用人だけでなく招待された貴族や王族たち、そしてリュールと共に来たフランやクランも共に生暖かい目で二人のことを見つめ応援していたーー。
-Fin-