【2】モブの指先。「いたっ」
ノートを捲るときに指先が痛くてつい声に出た。
「どうしたモブ。指に何かあんのか?見せてみろ」
師匠にちょいちょい、と手招きをされて呼ばれた僕は、師匠のデスクの前に移動をした。
「昨日からここがささくれちゃって痛いんです」
「お前、ちゃんと手入れしてないんだろ?あー爪も伸びてるじゃねぇか。ほら、ここに来い。切ってやるから」
言われるままに師匠の膝に座って手を差し出す。
「師匠の爪は綺麗ですね」
「当たり前だろ。お客サマをマッサ……ぅゔん、除霊する時に誤って傷付けないようにだな。あと、お祓いグラフィックするときも爪が長いと効率が悪いからな」
そうなんですか、と僕はぼんやりと師匠の声を聞きながら切ってもらっている爪先を見ている。
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