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    らんじゅ

    すぎさく運命論者兼杉下に囚われる者
    色々捏造をする
    とみとが、うめ、らぎ辺りも描くかも
    パスは大体「」の中の英訳です

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    らんじゅ

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    ㌦軸🌲エルミヤミヤ
    やり過ぎのミヤコに飯食わせに行く小話

    #三連の地獄
    #エルミヤミヤ
    #すぎすぎ

    子猫と魔王とMIYAKOという狂人 最初はちょっとした違和感だった。元々細っこいひとだから気にも止めずにいたけれど、躓いた彼を支えたときに触れた身体が嫌に骨張っていたのに酷く驚いた。思わずミヤビはガシリとミヤコの腰を掴み、その細さに愕然とする。身長は自分と変わらないというのに、この細さはなんだ。ミヤビが背後に銀河を背負っていると、腰を掴む手をぺしりと叩かれる。

    「あン♡ミヤビのえっち♡」
    「……ミヤコ先輩……今体重何キロですか……」
    「……なな……や、はちじゅう……」
    「絶対嘘だ。70って言おうとしたでしょ。先輩この身長で70代ヤバいっスよ」

     へらりと笑うミヤコの視線がスイ、とミヤビを通り越してどこかを見るも、撮影スタジオの廊下などという見知った場所でミヤビの追求を有耶無耶にできそうなものなど何もなかった。ミヤビはジトリと眉間を寄せてミヤコを睨みつける。

    「昔から細っこいとは思ってましたけどね、今回異常ですわ……なんか悩んでるんですか?先輩はいつだって最高ですよ。一切妥協をしないんだから。話くらいなら俺だって……」
    「おお、ミヤビ……心配してくれているのかい……?かわいいね……ちゅーしちゃおうかな……」
    「茶化さないでください!俺はまじめンッ」

     ミヤビの言葉は最後まで紡がれることなくミヤコの口の中に消えていった。ミヤコは腰を掴む手を引いてミヤビの身体を引き寄せると、やわやわと唇を喰むだけのあやすような、誤魔化すようなキスをする。柔らかな唇がいつも施される深くじりじりと快感に火を灯すようなそれを彷彿とさせて、ミヤビはかっと顔を赤く染めた。ミヤビは引き剥がそうと腕に少しだけ力を入れるも、先ほど掴んだ腰の細さを思い出してしまうと力を込めるのを躊躇してしまい、手を開いたり閉じたりする。

    「〜〜先輩ッ!」
    「アッハハ、かわいいねミヤビ、ありがとね、でも大丈夫だから」
    「こういうときのお前の大丈夫は信用できないなあ〜」

     ミヤビは飛び退いてくすんだ色の壁に張り付く。ミヤコが鋭い犬歯を覗かせてきゃらきゃら笑うと、ヌッと音もなく背後にエルケが立っていた。ゆっくりゆっくりミヤコの顔を覗き込むエルケはいつもの笑みを少しも崩さずに片手をミヤコの腹に這わす。

    「ああ、ほら、こんなに痩せて……いけないなあ……」
    「ぁ……せんぱい……ッそんなとこ……ッ♡」
    「ちょっ、まっ、ここ廊下……!」

     二人の醸し出す危うい、ゴールデンタイムではまず流せないような雰囲気に顔をさらに赤くするミヤビは、形だけ目を隠して慌てたように声をかける。

    「で?次はどんな不健康な役なの?」
    「へ」
    「手遅れの薬中ヤクザですう♡」

     にこりと問うエルケに元気よくミヤコが答え、ミヤビはぽかんと口を開けて固まった。にしても痩せすぎだろ、とミヤコの腹を摩るエルケに、ぱちくりと目を瞬かせる。
     ミヤコの演技の最大の特徴は、キャラクターの思考、好み、可能であれば積んできた経験、全てをその身体に落とし込む『憑依』である。ミヤコは台本から身体を壊してでもえげつないほどの役の作り込みをして、『本物』になるのだ。ミヤコの最愛、カナタが睨みつけるデッドラインギリギリまで。

    「や、役作り……?」
    「そうなんだよ、この子ってば昔っから極端な役作りしてさ。そのせいで普段から細っこいのに」
    「いやあ、だって考えてみてくださいよ。健康的なミヤコなんてそれただのdestiny△青色担当杉下京太郎なんですよ。それで良いなら京ちゃんにオファーすれば良い話で、これが俺の強みなんですよ。実際こういうの似合うでしょう?俺」

     からから笑うミヤコに、ミヤビは大きなため息を吐きながらズルズルと壁に沿ってしゃがみ込む。

    「なんだぁ……てっきり病んでるのかと……」
    「ごめんねぇ、びっくりしたねぇ、ここまでのは最近してなかったからぁ……病んだら話聞いてねぇ」
    「…………うす」

     ミヤコは同じようにしゃがみ込むとよちよち、と真っ赤になったミヤビを撫でる。最初は頭、耳の裏、顎下、と猫でも撫でるような手つきでくすぐるように撫でていく。ミヤビが猫ならゴロゴロと喉を鳴らしていただろう。

    「ミヤコ、あのね?やり過ぎって話をしてんだよ今」
    「!!そう、そうですよやり過ぎです!!!!」
    「ちょっと先輩、軌道修正しないでください。誤魔化されてくれそうだったのに」

     エルケがゆるりと溢すと、とろんと溶けていたミヤビはカッと目を見開きミヤコに食いかかる。だって心配なのだ。こんなことを繰り返していたらいつか絶対にガタが来る。そんなの困るのだ。

    「朝何食べました!?昨日は!?先輩のことだから食べてないでしょう!?もう怒りました!!飯行きましょう!!食べ切るまで離しませんから!!」
    「お、良いねえ〜お兄さんが店取ってあげよう、何系が良い?」
    「肉が良いです!!!!」
    「まっっっって無理だって、食えないから、離して……クソッ有言実行……!」

     スイスイとスマホを操作するエルケの横でにゃんにゃんもちゃもちゃと取っ組み合いをするミヤコとミヤビ。これが彼らの日常である。



     深夜、エルケのインスタが更新された。
     ミヤビの膝に収まり手ずから肉を食わされているちょっと嫌そうな顔のミヤコの写真と共に「ミヤビって意外と大胆だよなあ」という文言が投稿され、タイムラインとトレンドは「ミヤミヤてえて……ぎゃ、逆!?」「おいおいおいやってんなァ」「つ、つきあ……?」「待って魔王、詳細をくれ」などと大騒ぎだった。
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    🍊みかん好きのオルカ

    DONEメモ: ベアフットサンダルはサンダルではない


    足元を死守した探偵リーズニングと彼にサンダルを贈るスヴェンガリさんの話。


    最大のネタバレ↓

    ハピエン!

    ベアフットサンダル、調べてみてください!!アレがエッチに見える目を持ってしまった私は…一体……同志いないかな…?
    靴下に関するアレコレって最高にスケベですよね…いやぁ…活かしていきたい。何にとは言わないけど…!
    メモ: ベアフットサンダルはサンダルではない「先生」
    「………」
    「先生?」
    「………」
    「リーズニングセーンセ?」
    「黙れ」
    「やっとこっち向いた」
    「………」
    「ああ、残念」

     ぱき、と筆の先が折れる。これで何本目だ。深呼吸をして引き出しからストックを取り出す仕草は慣れてしまった。
     スヴェンガリは探偵を職業とするリーズニングの事務所によく来る。といっても依頼があったのは最初の一回だけ。それ以降は多忙のリーズニングにちょっかいを掛ける為だけに顔を出すのだ。

    「先生はつれない男ですね。つまらない」
    「なら来ないでくれないか」
    「貴方が入れたのに」
    「入れなければドアを壊して好きに出入りしてやると脅したのはお前だ」
    「そうですが?ああ、先生。私は寂しくて死にそうだ」
    「此処以外で好きに死ぬといい」
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