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    らんじゅ

    すぎさく運命論者兼杉下に囚われる者
    色々捏造をする
    とみとが、うめ、らぎ辺りも描くかも
    パスは大体「」の中の英訳です

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    らんじゅ

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    ㌦軸と言いつつ㌦である🌲🌸の方あんま書いてないなの気持ちで書き始めたけどこれ🌲🌲ですわ
    ミヤコと京ちゃんの小話
    ※運命たちはシェアハウスしてる

    #三連の地獄
    #すぎさく
    tooLateBlooming
    #すぎすぎ

    一卵性の双子のDNAはほぼ100%一緒 すん、とひとつ鼻をすすった。頬を流れ落ちる温い涙が、いつの間にか握り締めていた拳に落ちる。杉下京太郎はエンドロールの流れる画面をずっと眺めていた。
     他人事には思えなかった。けど、納得ができなかった。足掻いて、もがいて、愛しいひとを傷つけてでも、それでもやっぱり生きていて欲しかったから、突き放したあの男たちが。

    「馬鹿野郎共がよ」

     ポツリとひとつ呟いて杉下は俯き、身体を折り曲げて蹲る。突き放される側の気持ちも知らないで。

    『京ちゃん。俺、もう一緒、やめる』

     蝉の声がうるさいあの夏の日の、あの時の身体が冷える感覚を、お前たちは知らないだろう。自分の中だけで考えて、勝手に最善だと思って、勝手に自分だけ死んでいって!結局一番護りたかったものは護れていないじゃないか!
     ギチリと奥歯を噛み締めて、漏れる嗚咽を堪えようとすると、グルル……と唸るような音が鳴った。

    「ウワッッッ杉下さん何やってんすか!!??え!!??ちょ、集合!!!!」

     パチリと明かりがついたかと思うと、楡井がリビングの入り口で跳ねた。かと思ったら後ろの廊下に向かって大声を出す。ワタワタと身振り手振りで混乱を表現する楡井を見ながら杉下は、急についた明かりにしぱしぱと瞬きをして睫毛に溜まる涙を落とした。

    「どどどどどどうしたんです杉下さん!?こんな暗いところで一人で泣いて!?」
    「なになに、わあ、どうしたんだい杉下くん」

     杉下が無言で腕を広げると、楡井と蘇枋はふ、と目を見合わせて杉下の腕に収まりにいく。ぎゅう、と強く抱きしめると、くすくすと笑い声が溢れた。

    「久しぶりに甘えんぼが顔を出しましたね」
    「ふふ、学生以来かなぁ?何観てたの?」

     すん、と鼻をすすると杉下はポツリと「かのこんとにいさん」と溢す。すかさず楡井は「あれ一人で二本立てしたんですか!?呼んでくださいよ、部屋出て三歩で着くでしょう!?」と悲鳴を上げた。

    「なるほどね、当てられちゃったのか。珍しいね、杉下くんが……さすが魔王と帝王だね」
    「……違う、サブスクに入ってたから……クソムカついて思わず涙が出ただけ……」
    「うんうん、そうだね」

     さらさらと杉下の夜色の髪を梳いていると、トタトタと足音が近付く。ひょこりと顔を出したのはパッキリ白黒に分かれた、先程まで画面に映っていた配色と反対の頭だった。

    「……あンだよ……」

     ゆるゆると楡井と蘇枋を拘束していた腕を外すと、杉下は今度は桜に向かって腕を広げてン、とむつりとした顔をした。片眉を上げた桜はガシガシと頭を掻くとゆっくり近寄り、腕に収まった。

    「京太郎くんはどうしたのかな?俺寝てたんだけど」
    「京太郎くんは映画を観て悲しくなっちゃったみたいなんです級長」
    「慰めてあげてください級長」
    「あは、懐かし。悲しかったの?」

     楡井と蘇枋のからかいを含んだ状況説明にくすくす笑いながらも、桜は優しく杉下の頭を胸に抱き込み、髪を柔らかく撫でた。

    「……俺が……」
    「ん〜?」
    「俺が死ぬ時はお前らみんな道連れに殺してくから覚悟しとけよ」
    「え……死ぬんですか杉下さん……」
    「わあ、熱烈だねえ」
    「いや怖。なんで寝起きに殺害予告聞かなきゃいけねえんだよ、意味わかんねえ」

     杉下は困惑する桜の肩に顔を押し付けて、桜の身体をかき抱いてまた鼻をすする。

    「……本当に大事なら、抱えて離しちゃいけねえんだ。一緒に生き残る方法を探して、探して、それでも駄目なら一緒に死んでやるくらいの覚悟でいろってんだよ……自分と相手を切り離して、自分を勘定から外して考えるからアイツらは駄目だ」
    「だいぶ参ってないですか?明日撮影はないですけど練習ありますよ?」
    「う〜んお茶でも淹れるかい?にれくんなんか目冷やすもの持ってきてくれる?」

     楡井と蘇枋がそれぞれ側を離れると、桜がため息を吐きながら杉下の髪にキスを降らせる。

    「そうしてブツブツ考察してると本当にミヤコそっくりだな」
    「俺がミヤコに似てるんじゃなくて、ミヤコが俺に似てんの」
    「変わんねえだろ双子なんだから」
    「変わる。意識が」

     あそ、と呆れ顔で桜はとうに再生が終わった画面を見る。真っ暗な目でこちらを睨むミヤコと目が合う。

    「……相手の未来を思う、ってのも多分愛だよ。悪いもんじゃない。他の誰かを好きになって、幸せに生きてくれれば良いって、アイツらは思ったんだろ。そこに少しだけ自分を覚えていてくれれば……って」
    「出来るわけないだろ。これだけめちゃくちゃにしといて。自分がいないと生きていけないようにしてから手離すくらいなら責任取って殺して自分も死ぬべきだ」
    「おお……今日はよく喋んな……わかったわかった、お前はそうしろよ。ほんとお前はミヤコのことになるとムキになる」
    「……俺アイツ嫌いだもん……」
    「嫌いな奴の主演映画観るためにサブスク契約したりすんのお前?」

     嫌いだもん、と更に念押しをして杉下は桜の身体を抱く腕に力を込める。ゆるゆると髪を撫でる桜の指がこしょこしょと杉下の耳をくすぐるように触れた。

     実際のところ、嫌いではないのだ。むしろ愛していると言っていい。ほぼ同じDNAを持った少しばかり愛の重い己の片割れ。小さな頃はそれこそ俺じゃない方がお前、だなんて言うくらいには瓜二つだった。ミヤコが『一緒』にこだわった結果だった。先に身体が成熟したミヤコが焦り、杉下を押し倒した時から『一緒』は崩れていった。終わりを告げたのは、蝉の声がうるさい夏の日だった。
     別に良かったのだ。少しばかり違ったって、結局は一緒なのだから。焦らなくたって杉下の身体もすぐに成熟したし、うっかり引っ掛けて切った髪だってミヤコまで切らなくたって良かった。それをちっともわかってくれないミヤコがほんの少しだけ苦手だったのだ。ミヤコも映画の彼と同じように『もうやめる』と、痛みを、悲しみを、恐怖を、全部自分だけで抱えて杉下を突き放した。何もなかったフリをして、何も知らないフリをして。本当は『一緒』で居たいのに、二人で伸ばした髪を一人でさっさと切った。『キョウ』のように、何一つ杉下に与えなかった。

    「(そういうところが本当に嫌い)」

     またひとつほろりと涙が溢れた。桜はくにくにと杉下の耳を弄びながらため息を溢すと、トタトタと楡井と蘇枋の足音が近付いて来る。

    「ミヤコに電話してやれば?観たって。喜ぶよ多分。カナタに出れる時間聞いといてやろっか?」
    「…………やだ」
    「ほ〜んとお前ミヤコ拗らせてんなあ……じゃあ、電話じゃなくても一発で観たってわかるものとか、どう?」
    「?」







    「ヒッッッ」

     ミヤコはスマホ片手に事務所の廊下で固まった。後ろを歩いていたミヤビがぶつかって、倒れかかるミヤコをミヤビが支える。その原因は杉下京太郎のインスタだった。ほとんど動かない、動いたと思えばメンバー全員がしている告知などの事務的なものである杉下のSNSが今日不意に更新されたのだ。
     癖のない毛先だけが緩やかにカーブする髪を巻いてセットし、左耳の軟骨にシルバーのシンプルなピアスをつけて、桜を抱きしめながら頬に口付ける写真が投稿された。

    『馬鹿のコスプレ。
    大事ならこうしとけ。

    #MIYAKO』

     挑発的な文言は、何も知らぬ者なら「キョウ」に向けられたものだと思うことだろう。ミヤコにとっては、愛する片割れからの「無理に手離さなくていい」という分かりにくすぎるデレだった。十数年ぶりの『一緒』にミヤコの情緒とタイムラインが大騒ぎだったのは言うまでもない。
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    殺伐とした男が舌足らずになるのいいよね!!
    かわいいのは好きだけど、甘っちょろくない感じ…!
    殺し屋達の茶番劇ドンドンドンッ

     拳銃が唸るのに顔色も変えずターゲットへと距離を詰める。袋小路の壁を背にした男は肩で息をしながら必死に銃口を向けて引き金を引いたが、それはカチッカチッと頼りなく音を出すに過ぎない玩具に成り下がっていた。
     速度を落としたアサシンは鼻で笑った。きっといくら弾が入っていたって当てられやしない。
     男はもう成す術が無い。震える膝でなんとか立ち情けなく口を戦慄かせながら迫る悪魔の姿を見るしかなかった。
     だから、気付いてしまった。フードの奥で首元に鎮座するそれに。
     ふ、と男が気が抜けたように笑う。

    「"kneel"!!」

     ひく、とアサシンの肩が跳ねた。
     それはそれは勝ち誇ったような顔であった。それもそうだ。あの首にあるのはcollar、特定の相手を持つsubの証の首輪。subはdomのcommandに従ってしまうもの。それが相手を威圧するglareを意図的に込めて発したものなら尚更。言葉ひとつでsubを支配できる。それがdomだから。
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     暗号機から手を離して振り返る。飛び込んできた仲間を視界に認めてすぐ、立て掛けてあった板を倒した。
     呻き声を上げる姿を目の前に据えて、口の端を無理矢理上げる。

    「はは、いい気味」

     そのたった一言で、狩人の視線を一身に浴びる。身体を翻し挑発して踊るように駆ける。後ろで板を踏み抜く苛立たしい音がする。何も変わらない、仕事の始まり。


    「おつかれ!」
    「トレイシー。ナイチェ」
    「ナワーブのお陰だよ!いつもありがと」 
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