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    教室で育ててる魚が死んだ話

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    教室で育ててる魚が死んだ話教室で育ててる魚が死んだ。

    あだなをつけて、クラスみんなでかわいがっていた、真っ赤でひれがきれいな金魚。担任の先生が連れてきた魚だった。

    その子が朝方浮いていて、動かなくなってしまっていた。昨日までとっても元気だったのに、そういってみんなは悲しんでいた。
    いつの間にかお世話係になっていた佐藤さんは、きっといちばんめんどうを見ていた分人一倍悲しいだろうなと思った。
    真っ赤なあの子の亡骸は、佐藤さんが埋めてきてくれたそうだ。


    また先生が魚を連れてきた。今度は熱帯魚で、この子もながくてきれいなヒレをゆらゆらしながら泳ぐ、かわいらしい子だった。
    みんなはすぐに夢中になっていた。
    ちらりと佐藤さんの方をみたが、佐藤さんの表情は垂れた髪でよくわからなかった。


    いつもより早く起きれたので、そのまま教室に向かった。朝方のきれいな空気には、きっと不思議な力があると思う。
    だからだろうか。教室に佐藤さんの姿があった。まさか人がいると思わず、視界に入るなりとっさに隠れてしまった。
    こんなに早くから、お世話をしていたのか。いつみてもきれいな水だった理由が改めてわかった。

    さっきは驚いて隠れてしまったが、ずいぶん落ち着いたので教室に入ろうと改めて教室に向き直ったとき、ドアの窓から見えた彼女の横顔をみて足が止まった。


    水槽を見下ろす彼女の目はつめたくて、魚への一切の愛情を感じさせなかった。


    その目は、教室でいつも見ている、わたしの知っている、優しくて朗らかな彼女ではない、別人とすら思わせるものだった。


    わたしは、いつのまにか下駄箱にいた。



    あれから2年経って、私たちは高校生になった。
    中高一貫校とはいえ縁があるのか、佐藤さんと同じクラスになっている。
    もちろんクラスも担任も変わったので、もう教室に魚はいない。

    いまは高橋さんという外部入学の子と仲良くなったようで、いつも2人で何かしている。
    以前仲良くしていたグループの子達とは大分タイプも、彼女への接し方も違っていて、誰でも仲良くなれるなんてすごいなと驚いた。


    あのあと気付いたが、佐藤さんはふとしたときあの表情になっていた。
    一緒にいる子達の視界からふっと外れたとき、笑顔が緩んだとき。
    そのたびに、わたしは少し足の先が冷える。


    そろそろ冬になるが、高校生になってからまだあの表情はみていない。
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