教室で育ててる魚が死んだ話教室で育ててる魚が死んだ。
あだなをつけて、クラスみんなでかわいがっていた、真っ赤でひれがきれいな金魚。担任の先生が連れてきた魚だった。
その子が朝方浮いていて、動かなくなってしまっていた。昨日までとっても元気だったのに、そういってみんなは悲しんでいた。
いつの間にかお世話係になっていた佐藤さんは、きっといちばんめんどうを見ていた分人一倍悲しいだろうなと思った。
真っ赤なあの子の亡骸は、佐藤さんが埋めてきてくれたそうだ。
また先生が魚を連れてきた。今度は熱帯魚で、この子もながくてきれいなヒレをゆらゆらしながら泳ぐ、かわいらしい子だった。
みんなはすぐに夢中になっていた。
ちらりと佐藤さんの方をみたが、佐藤さんの表情は垂れた髪でよくわからなかった。
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