MVP:今剣「……が好きで…」
「なら……いったほうがいいですよ!」
「でも……だし…」
「だいじょうぶですよ!だって…」
縁側を散歩していた加州清光は、そんな声を聞き慌てて耳をそば立てた。
主と今剣が襖の向こうで恋バナをしている気配がしたからだ。
彼は恋バナの気配には敏感だった。それはもともとそういう話が好きなのもあるし、相手が何よりも主だからである。
肝心の誰が好きなのかは聞こえなくて、今剣が応援してるあたり、今剣ではないのだろうということしかわからない。
今剣が応援するなら…岩融?
そうなの?背が高いほうが好きなの?
ただの推測でしかないのに、清光は悶々としてしまう。
清光は主が好きだ。特別だと思っている。でも向こうは全員と仲がいいものだから、近待であっても本当に1ミリも安心できない。
1219