さっきまで明るかった空は目を離した隙にすっかり日が落ちていた。夏の夜は急に訪れて、昼の暑さは冷める暇もない。涼しいコンビニから一歩外に出た俺たちは、とたんにわだかまる熱気に迎えられた。
「だぁ〜〜〜暑っちい……」
「暑いのは家出る前からわかってただろ。オマエがどうしてもアイス買いに行くって言うから」
「チビだってついてきたくせに、いちいちうっせえな」
ビニール袋をがさがさと揺らしながら二人で家路に着く。家まで待てずにスイカの形のアイスバーをかじり出すコイツに倣ったわけじゃないが、俺も歩きながらアイスを開封した。あまり行儀は良くないが、家に着くまでに溶けてしまっては困る。
ソーダ味の氷菓は口の中をキンと冷やして、一時の涼しさを与えてくれる。隣りのコイツも食べている間はさすがに静かだ。シャク、シャク、食べ進める音が足音に重なる。そこにかすかにドン、ドン、と響くような音が届いた。
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