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    稲荷崎プリキュアパロ

    第3話 偽りのない正義昨日見た光景は一体何だったのか。銀島は共に目撃したはずの角名に確認した。「なぁ角名、昨日のことなんやけど」「やめて。何も聞きたくない」「……せやな」まともに取り合ってもらえず悶々としたまま1日を終えた。練習中も北や侑の姿ばかり追ってしまい集中出来なかった。もしも本当に北がキツネだったら。もしも侑が1人で世界を救おうとしているなら。そしてそれを治が助けると決めたのなら、双子の仲間である自分に出来ることはないだろうか。銀島は強い正義感から治に声をかけた。「治、あんな、昨日帰りたこ焼き屋おったやろ? 見てもうてん。侑と、キツネと」「あー……いや、あれな。何でもないで。たいしたことない」「たいしたことあるやろ。話は良く聞こえへんかったけど、北さんほんまはキツネなんやろ? 侑は、その、プリ……プリキュア、とかいうんになって世界のために戦ってるんやろ? そんで治もプリキュアになるんやろ? 」「ほとんど全部聞こえてもうてるやん」「俺には何も出来ひんかもしれへん。でもお前らが命かけて頑張ってるところ、見てるだけは嫌や。力になりたいねん」「銀。お前はめっちゃええ奴や。せやから余計にこの重荷は背負わせられへん。ダサい衣装も着て欲しない。この話はこれで終わりや」そう言うと治は侑と北の元へ行ってしまった。正直なところ銀島の言葉に心を揺さぶられた。侑に負けたくない気持ちと侑を守りたい気持ちからプリキュアになると決めた。しかし不安も勿論あった。未知の敵と戦うこと、ヤバい格好をしなければならないこと、そして北と侑以外の誰にも頼ることができないこと。そんな心に銀島の熱い思いは響いたのだった。しかし銀島を巻き込むわけにはいかない。「治……」銀島は何も出来ない歯痒さに拳を握り締めた。
    「北さん、侑、どないしよ。銀が」「ああ昨日のあれか」「え、銀に見られとったん? ヤバいやん」「お前があんなでかい声で叫ぶからや」「はぁ!? 俺のせいか!? プリキュアに名乗り口上は要るやろが!! 」「2人とも辞めえや。確かにプリキュアは口上が必須や。光ってまうのもしゃあないわ。これは俺が油断したせいや」北は2人を宥め、続けた。「銀か…… あいつの正義感は本物や。観客を熱狂させるプレーも申し分ない。もしかしたらプリキュアとしての素質はお前らよりあるかもしれん」「えっ。せやったら何で最初に俺に声かけたんです? 」「銀がおるなら俺もプリキュアならへんくてよかったやん……」「見られたもんはしゃあない。銀にもプリキュアになってもらおか。治。呼んで来てくれるか? 」「でもそしたら銀も危険な目に遭うかもしれん。ビジュアル的に俺らよりキツいやろし……」「治、それ聞いて安心したわ。お前ももう立派なプリキュアや。その銀への気持ち、大事にしとき」「いや俺まだ変身してへんのですけど」
    治は複雑な気持ちを抱えたまま銀島を呼びに行った。「何も聞かず来てくれ」そう伝えると北と侑の待つ校舎裏へと向かう。銀島は北の顔を見るとすぐに言った。「北さん……すんません、俺、昨日見てもうたんです。角名も一緒に。でもあいつ、昨日のこと何もなかったみたいに……」「巻き込んでしもてすまんな。俺の力不足のせいで、ほんまに申し訳ない。そんでな、お前にもプリキュアになって欲しい思てんねん」「……そのつもりで来ました」銀島は力強く答えた。「うせやろ。何で? めっちゃ乗り気やんか……」「俺は止めてんけどな……」こそこそと話す双子の話は聞こえていないようだ。「北さんの事情はようわからへんのですけど、侑も治も世のため人のために戦ってて、それを知って、俺も何か自分に出来ることないかなて思てそんで、」「銀、もうええよ。お前の意思は十分伝わった。早速やけどこれ受け取ってくれ」北は侑、治に渡したものと同じホイッスルを手渡した。その中心は橙色に輝いていた。「これでプリキュアに……」とその時、北の表情は突然厳しくなり「急やけど、出動や。詳しい話は後や。ほな行くで」「ウィッス! 」「その前に変身しとき。治と銀は初めてやろ。昨日のこともあるしな」「ハイ! 」銀島はホイッスルを力強く吹いた。治は思わず目を覆う。銀島のダサい姿を見たくなかったのだ。本当に。良い奴だから。頼むから。その願いは虚しくピーッと高らかな音と共に光が降り注ぎ銀島を包む。橙色の稲妻が走り銀島が姿を現した。「キュア・ジュスティーツア! 」「いや名前長……てなんでお前ズボンやねん! スカート履けや!! しかも普通にスニーカーやし! えっこんなパターンありなん!? 北さんなんでですか? なんで俺だけこんなキツい感じなんですか? 」侑の言葉を聞いた治は恐る恐る目をあけると、そこには比較的マシな衣装を身に纏った銀島がいた。少しだけ安心した。そしてキュア・ジュスティーツアは力が漲るのを感じ言った。「これがプリキュアの力……! 」「次は治やな」「こういうパターンもありなんや。ほな俺もスカート以外でお願いします」と願いを込めてホイッスルを吹いた。「サム初めてやし俺も付き合ったるわ! 」侑も吹く。2人のホイッスルが鳴り響き紅色と紫色が交差する。「キュア・アモーレ! 」「キュア・ヴォラス! 」すぐに治は頭を抱えしゃがみ込んだ。「嫌や。なんでツムとお揃いやねん……」「サム、銀。いいやヴォラス、ジュ…なんとか、これから3人で頑張って世界救ってこな! 」北は微笑む。「お前らを選んで正解やった。治、551買ったるから元気出し。お揃い衣装、ええと思うで」「豚まん3個いってもええですか? 」「俺らみんなまだまだプリキュア初心者や、せやから力を合わせて頑張るんや」ジュスティーツアは誇らしい表情をしていた。
    こうして3人はプリキュアとして地球温暖化を阻止するべく(忘れてた)戦うこととなった。「ここまで来たら次は角名やな。」北は1人呟いたのだった。
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    MEMO北侑♀
    北さん高3、侑高2の時に付き合い始めた2人。
    始まりは侑の片思いで、猛アタックの結果「学業と部活を疎かにしないこと」を条件にお付き合いが始まった。
    侑は気が強く破天荒だが美人、バレーの実力もあり男女共にファンも多く、スクールカースト上位の運動部男子と付き合っては「おもんない」とすぐに別れていた。一方北さんはバレー部男子主将としてそれなりにモテてはいたが「付き合うとかそういうのとちゃうねんな〜」枠で、未だ女性とお付き合いをしたことがなかった。
    お互い面識はあったものの深い関わりはなく、男バレの後輩を叱る姿を多く見かけたことと、自分も過去に怒られたことがあり侑は北さんのことが苦手だった。その後なんやかんやあって北さんに惚れてしまった侑、意識した途端今までの素行を改めて北さんに猛アタック。しかし急に良い子になれることもなく悶々とする。ある時女子の試合を見にきた男子バレー部、北さんがおる!といつもより張り切るも負けてしまう。悔しくて1人人気のないところで泣いていると北さんが声をかけてくれる。「残念やったな、でもええプレーやったと思うで」普段北さんの前で猫を被っていた侑、はじめて北さんの前で本音を晒す。「でも、結果が全てなんです。負けたら意味ないです。勝ち以外要らん」フフッ、と笑う北さん。「何がおもろいんですか」「いや、最近やたら大人しいええ子になったなと思とったけど、やっぱり侑やなぁ」はじめて見た北さんの笑顔に涙も止まる。
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