彼女が好きだと言っていた本を読んだ。
内容は全くもって入ってこなかったが、この本のページを捲る彼女の姿は容易に浮かんだ。
これを読む彼女は一体何を思っているのだろうか。
彼女の目にはより輝いて映るのだろうか。
確かに楽しそうにこの本について語る彼女は誰よりも眩しく、輝いていた。
それしか私には分からなかった。
彼女が何故この本を好きなのかも、この本の魅力も、彼女がこの本を読みどのような感情を抱いているか全く理解が出来なかった。
何も好きになれない私は、彼女のその眩しさに嫉妬したのだろうか。
いや、きっと違う。
私は彼女にはなれない。
ただその事実だけが私を苦しめていた。