五悠になるはずだった話「唐突ですが!タイムカプセルを埋めたいと思いまーす」
ハイ拍手!なんて軽いノリで教室にやって来た先生に俺はもちろん釘崎も伏黒も首を捻るしかない。いや、釘崎も伏黒もあからさまに嫌そうな顔をしていると言った方が正しいか。鼻歌を歌いながら教卓へ向かって歩く先生を三人、暫し視線で追った後で二人は無視を決めたらしく各々が文庫本や雑誌に視線を戻していた。
「あれ、聞こえてなかった⁇タイムカプセルだよーワクワクするでしょ?」
こつこつとチョークが板を叩く音と共に黒板にでかでかとタイムカプセルの字が踊る。ご丁寧に語尾にハートマークが付けられたそれは、いつぞやドラマで見た教師の自己紹介シーンを思い起こすものだ。得意げに振り返った先生にもノーリアクションを決め込む二人。漫画よろしく木枯らしが落ち葉を攫う幻覚が見える。
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