5章おまけ部屋には2人いた。
僕と、蒼純くんだ。
でも部屋にいるのは僕だけと言ってもいい。
彼は、蒼純くんはもう事切れて一時間ほど経つ。
彼の体は消えない痣と死斑で少しずつ紫色に蝕まれていた。
綺麗な肌が侵食される様は根から摘まれた花が萎れていくような美しさと類似して見えた。
摘まれた花を慈しむ様に。
僕は、蒼純くんの心臓に耳が当たるように胴に抱きつく。
どれだけ押し付けても心音は聞こえてこない。
当たり前だ。
僕が殺したんだから。
それを実感して、自然と口角が上がる。
そのまま顔を埋めて、甘えた猫のように彼に擦りつく。何をしても彼は無反応。僕が何をしても嫌がらない。喜ばない。
何度目かのキスをする。
きっと彼が生きている時にキスをしたら嫌がられたんだろうな。
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