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    ume8814

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    現代AU仁竜に秋が到来しました!って話

    季節の変わり目 朝起きて一番最初に見るものと言えば。寝室の天井、朝日の漏れるカーテン、毛深い胸板、髭の生えた顔、大抵はこのどれかだ。しかし今日一番最初に目に入ったものは空の枕と、その少し下に山のようになっている夏用の羽毛布団だった。

     最近は仕事終わりに最寄り駅から家までの帰路を歩いていると、金木犀の香りが何処かの家から香り、時にはストーブを焚いている匂いがする事もあるようになった。まだ暖房をつけるには早いなと思うが、そろそろ薄手のコートでも出すか悩ましい季節になってきた矢先。この時期になると時々こうして布団にくるまった竜三が見られるようになる。
    「竜三、朝だぞ」
     薄らと上下している布団の山を軽く揺すってみるが、恐らく手の辺りだろうか、布団がギュッと一層丸め込まれただけだった。空調を入れるには暖かく、半袖で寝るには肌寒い頃になっても竜三はギリギリまで半袖のTシャツにリラコで寝ている。そのせいか寒くなってくる頃に数度、朝起きて1番に団子のようになった布団を見ることがあった。
    「今日の朝食はお前の当番だろう」
     そう布団の山に向かって声だけかけても、竜三は布団に籠城を決め込んでいる。もぞもぞと山が動いているから恐らく起きているのだろう。それでもまだ微睡んでいるのか一向に起きあがって来る様子はなかった。この布団お化けをどうしてくれようか。枕元の時計を確認しても別に焦るような時間ではないし、俺が朝食を準備したって良かったが、そう頻繁に見れるわけでも無い布団の山に、俺は悪戯心が湧いてきていた。
     布団の隙間から腕を差し込む。がっしりと掴まれて堅牢かと思われた布団の山だったが案外するりと腕が潜り込んで行った。おそらく顔があるだろう辺りに向かって腕を進める。途中で竜三の腕に触れるが、それでも竜三が起きる様子はない。俺の腕が冷たかったら流石に起きるのだろうが、普段から子供体温と揶揄われるだけあって今日もあたたかいのだろう。竜三の腕を辿っていると直ぐにモサモサと髭に指が触れる感覚があった。布団の山の中、竜三はいつも赤子のように丸まって寝っている。これ以上の腕の進行を拒むように握られた布団の端が巻き込まれる感覚があるがもう目的地に辿り着いたあとだ。特になんの妨害にもならない。
     竜三の体温と呼気がこもっているせいか、少ししっとりとした布団の中で手を動かす。竜三の髭の生えた、不思議な皮膚のやわらかさが好ましい輪郭に触れる。
    「竜三」
     再度声をかけてみたが、竜三は布団から出てくるつもりは無いらしい。まさかこの期に及んで寝ているのか。そろそろと輪郭を辿り頬骨を撫でながら手を動かしていくと指先に睫毛が触れた。横に撫でるようにして睫毛に触れると目蓋が僅かに動く。そのまま手を動かしていき、睫毛よりもしっかりとした眉毛を辿り眉間の辺りまできた。ぎゅうぎゅうとシワが寄っている眉間に指先を押し込むと、竜三がモゴモゴと何か喋っている。不明瞭で何を言っているが分からないが、きっとやめろとかいやだとか、そういった文句だろう。
    「聞こえないぞ」
     ここまでしても起きてこない竜三が面白く、まるで我慢比べのようだと段々と楽しくなってきた。依然として何かモゴモゴと言っている竜三の口元へと手を移動させる。薄らと開いている唇に触れるとビクッと布団の山が震え、口は閉じられてしまった。
    「何を話していたんだ」
     もう今更と思うが、顔を布団に近づけて尋ねてやる。やわやわと、少しカサついている唇を触れていると一層唇が固く引き結ばれるのを感じる。ふにふにと竜三の唇の感触を楽しみながら布団に覆い被さるようにして様子を伺っていたが一向に口は開かれない。それもそうだろう、段々とおかしくなってきて、思わず笑い声が漏れた。そこまで大きな声ではなかった筈だが、恐らく意固地になっているのだろう竜三にもその笑い声が聞こえたのか、強く腕を押しのけられると布団の中で背を向けられてしまった。少し遊びすぎたか。もう竜三は起きているようだしこのまま布団を剥がしてしまっても良かったが、もう少し遊んでいたかった。竜三がくるりとこちらに背を向けてしまったばっかりに、もう唇がどこに有るのか探すのは容易ではないが少し手を進めると首筋に触れる。項の辺りを頭に向かって撫でると竜三がぎゅうと首を竦めるのがよく分かる。首筋を辿った先、腕を差し込んだ時よりも幾らか温度が上がった気がする布団の中でも一際温かい耳に触れた。
    「俺はお前が何を言っているか分からなかったが、お前は耳がいいな」
     竜三の体温で温くなったピアスを辿る。耳輪に幾つか開けられたピアスを一つ一つ確認するように触れていく。そのまま耳たぶの方に指を進めると、ピアスは外されているものの幾つかポコポコと触れる感覚がある。そうしているうちにぐっと1段凹んだ所まで辿り着いた。そう言えば、また新しくこの辺りにピアスを開けようかという話をしていたな。別に止める気は無いがピアスを開けてしまったら暫くはこうして触れることも出来なくなる。そんなことを考えているうちにもう触れていないのは耳穴だけになっただろうか。もういっそ指を突っ込んだら起きるだろうかと考えていたら、今までにない力で腕を払われた。
    「おまっ、朝からいやらしい手つきしやがって!!」
     おやと思うまもなく布団が跳ね除けられて、中から真っ赤な顔をした竜三が出てきた。
    「お前がいつまでも起きてこないからだ」
    「だからって!」
     ほんの少し前まで布団にくるまっていたのに、すっかりベッドの上に起き上がった竜三は、怒っているせいか、布団にくるまっていたせいか、はたまたいやらしいらしかった俺の手付きのせいか、真っ赤な顔で不満そうにしている。もう少しからかってやろうかとも思ったが、ちらりと時計を見るとあまりのんびりしている余裕がある時間でも無くなっていた。
    「目が覚めたなら良かった。そろそろ飯を作ってくれないか」
     まだ顔の赤みの消えない竜三に、まるで何も無かったかのようににっこりと笑ってそう告げると竜三は何か言い募ろうとしていた言葉を飲み込んだようだった。そうだろう、竜三は俺のこの顔に弱い。それにしても朝から良い思いをした。
    「お前の作った朝飯を食ってから仕事に行きたいんだ」
     そうして、仕事を終えたらまっすぐ帰ってくるから続きでもしよう。
    「ほとんどが昨日の残りもんだろ」
     そう不貞腐れたように言って竜三がやっとベッドから出て床に足を着く。
    「それでもだ」
     別に構わないさ。明日からは休みだ、手の込んだ物は明後日にでも作ろう。


    この2人は休みの日の前の晩にセックスします!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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    Replies from the creator

    ume8814

    DOODLEグリクリグリ
    読書 サイドテーブルを挟み緩く向かい合うように置かれた1人がけのソファで、クリーデンスとグリンデルバルドはそれぞれ本を読んでいた。日が落ちてから随分経ち分厚いカーテンの下ろされた部屋では照明も本を読むのに最低限の明かるさに絞られていた。その部屋には2人のページを捲る音だけが静かに響いている。


     クリーデンスが本を読むようになったのはつい最近、グリンデルバルドについてきてからのことだった。最低限の読み書きは義母に教えられていたが、本を読む時間の余裕も、精神的な余裕も、少し前のクリーデンスには与えられていなかった。
     義母の元でクリーデンスが読んだ文字と言えば自分が配る救世軍のチラシ、路地に貼られた広告や落書き、次々と立つ店の看板くらいのもので、文章と呼べるようなものとは縁がなかった。お陰でクリーデンスにはまだ子供向けの童話ですら読むのはなかなかに骨が折れる。時には辞書にあたり、進んだかと思えばまた後に戻ることも少なくないせいでページはなかなか減らない。しかしクリーデンスはそれを煩わしいとは思わなかった。今までの生活とも今の生活とも異なる世界、新しい知識に触れる事はなかなかに心が惹かれる。クリーデンスにとっては未だにはっきりとしない感覚だがこれが楽しいということなのかもしれないと、ぼんやりとだが思えた。それに今日のように隣で本を読むグリンデルバルドのページを捲るスピードは、自分のものとは異なり一定で、その微かに聞こえてくる紙のすれる音が刻むリズムがクリーデンスには酷く好ましかった。
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    ume8814

    DOODLE転生した記憶ありピタジョがギャングの下で掃除屋をしながら暮らしていくAUがみたいというツイッターでのどうにもならない妄想から生まれたものとなっています。
    ・モブの死とそれに伴う流血描写
    ・ジョージが色覚異常/ネットで得た知識をもとにしているためおかしな点が多々見受けられるかと思います
    ・マスターキー(斧)
    その他諸々なんでも許せる方向けとなっております。
    赤の記憶 ジョージ・ミルズは生まれてこの方、現実世界において、世間一般の言う赤という色を認識出来ないでいた。赤と呼ばれる色に割り振られた色は、一応ジョージの中にも存在する。しかしその色が多くの人が言う赤と同じかと言われると、答えは否だった。
     気がついた時にはセピア色のフィルターが幾重にも掛かっているような現実をみていたが、不思議な事にジョージの見る夢は昔から鮮やかだった。幼い頃は目が覚めると広がるセピア色の世界と鮮やかな夢とのギャップに驚き、母を質問攻めにしていた。どうして起きている時と寝ている時で世界の色が違うのか。どうして与えられたクレヨンに書かれた色の名前が自分の知るものと違うのか。
     幼いジョージの質問はどれも不明瞭で、母を困惑させるには充分過ぎるものだった。先天的に知る由もないだろう色の相違を拙い言葉でつたえられるのは薄気味悪くもあったのだろう。いつしかジョージと母との距離は離れていき、仕事を見つけたからと強引に家を出れば知らぬ間に縁が切れていた。それが16歳の冬の出来事。普段から家を空けがちな父には、最後の挨拶すらしないままだった。
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