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    ume8814

    @ume8814

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    ume8814

    DOODLEグリクリグリ
    読書 サイドテーブルを挟み緩く向かい合うように置かれた1人がけのソファで、クリーデンスとグリンデルバルドはそれぞれ本を読んでいた。日が落ちてから随分経ち分厚いカーテンの下ろされた部屋では照明も本を読むのに最低限の明かるさに絞られていた。その部屋には2人のページを捲る音だけが静かに響いている。


     クリーデンスが本を読むようになったのはつい最近、グリンデルバルドについてきてからのことだった。最低限の読み書きは義母に教えられていたが、本を読む時間の余裕も、精神的な余裕も、少し前のクリーデンスには与えられていなかった。
     義母の元でクリーデンスが読んだ文字と言えば自分が配る救世軍のチラシ、路地に貼られた広告や落書き、次々と立つ店の看板くらいのもので、文章と呼べるようなものとは縁がなかった。お陰でクリーデンスにはまだ子供向けの童話ですら読むのはなかなかに骨が折れる。時には辞書にあたり、進んだかと思えばまた後に戻ることも少なくないせいでページはなかなか減らない。しかしクリーデンスはそれを煩わしいとは思わなかった。今までの生活とも今の生活とも異なる世界、新しい知識に触れる事はなかなかに心が惹かれる。クリーデンスにとっては未だにはっきりとしない感覚だがこれが楽しいということなのかもしれないと、ぼんやりとだが思えた。それに今日のように隣で本を読むグリンデルバルドのページを捲るスピードは、自分のものとは異なり一定で、その微かに聞こえてくる紙のすれる音が刻むリズムがクリーデンスには酷く好ましかった。
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    ume8814

    DOODLE転生した記憶ありピタジョがギャングの下で掃除屋をしながら暮らしていくAUがみたいというツイッターでのどうにもならない妄想から生まれたものとなっています。
    ・モブの死とそれに伴う流血描写
    ・ジョージが色覚異常/ネットで得た知識をもとにしているためおかしな点が多々見受けられるかと思います
    ・マスターキー(斧)
    その他諸々なんでも許せる方向けとなっております。
    赤の記憶 ジョージ・ミルズは生まれてこの方、現実世界において、世間一般の言う赤という色を認識出来ないでいた。赤と呼ばれる色に割り振られた色は、一応ジョージの中にも存在する。しかしその色が多くの人が言う赤と同じかと言われると、答えは否だった。
     気がついた時にはセピア色のフィルターが幾重にも掛かっているような現実をみていたが、不思議な事にジョージの見る夢は昔から鮮やかだった。幼い頃は目が覚めると広がるセピア色の世界と鮮やかな夢とのギャップに驚き、母を質問攻めにしていた。どうして起きている時と寝ている時で世界の色が違うのか。どうして与えられたクレヨンに書かれた色の名前が自分の知るものと違うのか。
     幼いジョージの質問はどれも不明瞭で、母を困惑させるには充分過ぎるものだった。先天的に知る由もないだろう色の相違を拙い言葉でつたえられるのは薄気味悪くもあったのだろう。いつしかジョージと母との距離は離れていき、仕事を見つけたからと強引に家を出れば知らぬ間に縁が切れていた。それが16歳の冬の出来事。普段から家を空けがちな父には、最後の挨拶すらしないままだった。
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