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    りぼん

    りぼんです

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    りぼん

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    α勝己×β出久の両片思いなぐちゃぐちゃオメガバースです。時間軸は折出中学時代です。

    #勝デク
    katsudeku

    運命が欲しかった。手紙が来ていた。この間学校で行われた血液検査の結果を知らせる手紙だった。お母さんが一緒に見よう、と震える手を握ってくれる。何も言われたことは無いけれど、学校でどんな扱いを受けているのか知っているんだと思う。この結果が、僕の学校生活を左右することも。

    ―――

    「今日の検査結果は後日郵送で家に届く予定だ。必ず親御さんと確認するように!それじゃ委員長、帰りの挨拶」
    「きりーつ、礼」

    さようならー、とクラスメイトの声が響く。帰り支度を済ませてさっさと出ていく人。机の向きを変えてお菓子を開ける人。それぞれの予定に合わせてクラスが動き始める。僕も帰って今日のヒーローニュースまとめよう。スマホを弄りながら立ち上がり、教室を出る。下駄箱で靴を履こうとしゃがんだ時、背中に強い衝撃を受けた。
    「どーせカツキはαだろうな!俺もαだといいなー」
    「ハ、当たり前だろ。お前には無理だな。せいぜいβ止まりだろ」
    「カツキ言うなぁ~!ま、俺もそうだと思うけど。お前がαは無理あるわ」
    笑い声と共に、聞き慣れた幼なじみの声が聞こえる。幼い頃は頼もしさを感じていたこの声に、今は恐怖ばかり感じていた。絡まれる前に帰ろう。靴紐を結ぶ手を早めるけれど、その間も後ろでの会話は続く。
    「とりあえずΩじゃなきゃなんでもいいわ!」
    「ホント、Ωだけは勘弁だよなぁー」
    「可哀想だよなァ。ま、その可哀想な運命の奴もいるけどな」
    どうせ、その「可哀想そうな運命の奴」は僕のことを言ってるんだろ。紐を無造作に結んで、さっさと立ち上がる。もう早く帰ろう。後ろから刺さる視線を無視して、逃げるように校舎から離れた。


    検査から1週間。検査結果が届き初めているようで、クラスは第二性の話題でもちきりだった。
    「カツキαだったのかよ!?マジかぁー!」
    「ま、想定内だろ。むしろβの方が驚くわ」
    「当たりめェだろ。俺はテメェらモブとは違ぇんだよ!」
    「なんも言えねー!」
    ガヤガヤ話すグループに気づかれないよう、気配を薄くして席に座る。僕はまだ結果が来ていないけれど、かっちゃんはαだったようだ。まぁそうだよな。小さい頃から才能マンで、大抵のことはすぐ出来る。何にもできない、無個性の僕とは大違いだ。ヒーローノートを出して、かっちゃんのページに小さくα、と書き加える。気づかれる前に別のページへめくり、朝のヒーローニュースをまとめる。ノートを書くことに集中していて、後ろから近づく悪意に気づけなかった。
    ガッと肩を掴まれて、驚きで肩が大きく跳ねる。
    「ヒッ…かっちゃん」
    「なァ、テメェは第二性なンだよ」
    「ま、まだ結果届いてないから、わかんない…」
    「ふぅん。手紙が届くのが楽しみだなァ?」
    彼はそう言い残すと興味を無くしたように僕から離れていった。君は僕が1番底辺でないと気が済まないのだろう。これでαだったりしたらどんな反応をするんだろうか。きっと、有り得ねぇ、どんな手使ったんだって掴み掛かられるんだろうな。どうしたら波風立てずに関われるんだろうか。ため息を吐いたところで先生が教室に来たため、それ以降考えることは無かった。


    …そして今手元に、僕の今後を左右する結果を告げる紙がある。ソファに座り、ハサミで手紙の封を切る。お母さんは何も言わずにただただ僕に寄り添ってくれていた。小さく吐く息と共に体から不安を押し出して、手より少し大きい封筒から中身を取り出す。紙を開く手を、柔らかい手が支えてくれた。開いた手紙が告げたのは「β」だった。
    「よかった、よかったね出久!」
    お母さんはそう泣きながら喜んでくれた。Ωじゃなくてホッとしたはずなのに、胸がぽっかり空いたように、落ち着かない気分だった。



    きっと昨夜は想定した結果じゃなかったから混乱しただけだろう。そう自分を納得させて家を出た。教室に行くのが少し怖い。βだと知ったら彼はどうするんだろう。ぐるぐるぐるぐる、第二性を聞かれた時のシュミレーションをする。何通りも試したけど、爆破されない結果が見えなかった。震える手で教室の扉を引く。いつものように気配を消して席に着いたけれど、優秀な彼の目を誤魔化すことは出来なかったようだ。
    「よォ、デク。第二性はわかったンかよ」
    「え…あ、うん。昨日、届いたみたい…」
    「へェ?…で、どれなンだよ」
    ニヤニヤしながら聞いてくるその顔には、どうせΩだろ?と書かれている。
    「βだよ」
    「…は」
    「だから、βだよ」
    君の聞き間違いなんかじゃないと念を押すように2度、伝えた。爆破されることを予想して、目をぎゅっと瞑る。…が、想定していた衝撃はいつになっても来ることはなかった。そっと目を開けると、見たことのない顔をしていた。驚きと落胆が綯い交ぜになったような、複雑な顔。…自分の予想が外れたことがそんなにショックだったの?ハッと意識を戻した君は何も言わずに去っていく。は…?どうして何も言わないんだよ。いつもはすぐ爆破するか暴言を吐いてくるじゃないか。……底辺じゃない僕には、興味がない?もう自分の感情がわからなかった。昨夜空いた穴を中心に、渦のように感情がぐちゃぐちゃになっていく。
    ガラッと扉が空いて、緩く髪を巻いたいかにも女の子らしい子がかっちゃんに近づく。
    「カツキくん、αなの?あのね、私、Ωなの…もしかしたら、運命の番かも…!」
    「……そーかもな」
    隣のクラスで可愛くて有名な女の子が、わざわざウチのクラスまで来て話しかけている。その子はΩらしい。今まで一言も話したことない女に腕を組まれながら、かっちゃんは教室を出ていった。今まで女なんてめんどくせぇって一蹴してたじゃないか。急にどうして。頭が色んな感情でぐちゃぐちゃになって、もうどうしようもなかった。なんで、こんなに彼に振り回されてるんだろう。彼の一挙手一投足を気にして、想像して。
    ……あぁ、気にしているのは僕の方じゃないか。彼のことが、好きなんだ。そう認めると、空っぽの穴が少し小さくなった気がした。きっと、なんでもいいから僕に興味を持ち続けてほしかった。底辺じゃなくなった僕に彼に彼が興味を持つことはない。Ωじゃなきゃ運命にもなれない。βじゃなくて、Ωに生まれたかった。
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    Replies from the creator

    りぼん

    DONE展示で書きたかったものです…。未完です。
    よければ暇つぶしにでも読んでください。
    過去の事件から、狂ってしまったデクくんと彼に尽くすかっちゃんの話です。勝デク要素薄めかも…しれません。
    ガラスのビー玉⚠️原作軸じゃありません!大学生パロです。
    デクくんがパパ活っぽいことしてます。
    デクくんが監禁されてます。
    2人のお互いの呼び方が「かっちゃん」「デク」ではありません。
    以上のことが大丈夫な方はどうぞ!


    「おい、出久。おめーどこにいンだよ」
    「あぁ、ごめん。ちょっと用事があってね、もう学校出ちゃった」
    「アァ?一声かけろや。無駄に探しちまったじゃねーか。あ、あと今晩お前ン家行くからな」
    「えー、いつも急だよね。何時くらい?」
    「あー、早くて20時ぐらいだな」
    「わかった、じゃあ待ってる」
    「ン」

    ぷつりと切れたスマホを適当にバックのポケットへと突っ込む。ほんとに、見た目によらず連絡がマメな人だなぁ。今まで付き合ってた人は講義の後連絡してくることなんて無かったし、僕のこと女より気軽にヤれる奴、くらいにしか見てなかったのに。爆豪くん、粗野に見えるけど所作は綺麗だし、良い家庭で育ったんだろうな。思わぬ彼からの連絡に少し気分が上がって、ふんふんと鼻歌を歌いながら歩く。夜の予定も出来たし、今日は早く切り上げてかーえろ。
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